● ● ● 生乳生産の減少に伴い輸出量は前年同期比54.8%減 ● ● ●
10月の輸出最盛期を前に、ニュージーランド(NZ)の第一四半期(7月〜9月)バター輸出量は大幅な減少となった。スタティスティック・ニュージーランドの統計によると、7月から9月までのバター輸出量は、7月が6千トン、8月が1万トン、9月が9千トン、合計2万6千トンとなり、前年同期と比較すると54.8%の減少となった。
アジア諸国や中東、ロシア各国など世界的に高まる乳製品需要を背景に、乳製品の国際価格が高値で推移する中で、NZのバター輸出が減少した要因としては、春先の生乳生産の落ち込みが挙げられる。NZでは今年の春先にかけて、北島を中心に平年を上回る量の降雨が続いた上、全土で厳しい寒さが続いたことから、特に酪農が盛んな北島北部で、放牧開始の遅れによる生乳生産への影響が出始めており、乳製品の安定供給に懸念が持たれていた。
バター輸出を仕向け先でみると、主要輸出国である中東、ロシア向け輸出量は、国際価格の高騰を受けて著しく減少し、エジプトは前年同期比78%、イランは同69%、ロシアは同61%、サウジアラビアは同51%の減少となった。一方、米国向け輸出量は、米国内でのチーズ生産が増加したことなどによるバター生産量の減少や今年後半の需要期に向けた在庫確保の基調を受けて、急速にバター輸入を増やした結果、前年同期比24.5%増と大幅な伸びをみせた。
図 バター輸出量
|
|
資料:Statistics New Zealand調べ |
● ● ● 輸出額は大幅な減少も生乳生産は回復基調に ● ● ●
生乳生産の減少に伴う輸出量の減少を受けて、バターの輸出額も大幅な減少となった。スタティスティック・ニュージーランドによると、第一四半期のバター総輸出額(FOB価格ベース)は、前年同期の1億4,890NZドル(約113億円、1NZドル=76円)から51.3%も減少し、7,246万NZドル(約55億円)となった。乳製品主要4品目(バター、脱脂粉乳、全粉乳、チーズ)の総輸出額も同14.6%の減少となったが、その中でも特にバターの減少は著しく、4品目に占めるバターのシェアは、前年同期から6.7ポイント減少し8.9%となっている。
第二四半期(10月〜12月)に入り、NZ国内の天候も平年並みとなってきたことから、牧草の生育状況も改善し、春先の遅れを取り戻すように生乳生産はピークを迎えている。今年のNZの生乳生産量は、春先の遅れが影響し、前年並みかやや下回るとの予測もあり、乳製品の一大輸出国として今後の動向が注目される。
|