欧州委、EU市民のCAPなどに対する意識調査結果を発表


CAPなどに対する意識調査結果を発表

 欧州委員会は10月21日、EU市民の共通農業政策(CAP)と食品の品質に対する意識調査結果の報告書を発表した。この報告書は、1995年から2003年において実施された、EU市民のCAPの目的や恩恵についての認識や食品の品質についての意識に関する調査をまとめたものである。

CAPの認識度は低い

 「EUではどの政策分野が、機能していると思うか」との問い(2001年調査)に対し、「農業」という回答が最も多く、全体の59%であった。次いで国際貿易(54%)、環境(51%)であった。国別に見ても15カ国のうち、13カ国で「農業」と回答したものが1位であった。農業は、1992年に同様の調査を開始して以来1位となっている。

 一方、「CAPについて、読んだり、聞いたりしたことがあるか」の問い(2000年調査)に対して、EU市民の54%が「知らない」と回答している。なお「知っている」との回答は39%であった。国別にみると、「知っている」と回答した国はフランスが73%と最も高く、デンマーク、アイルランドと続く。一方、イタリア、スペイン、オーストリア、スウェーデンでの認識度は低く、それぞれ17%、21%、23%、24%であった。また、性別、年齢層別にみると、女性や15歳〜24歳、54歳以上の層でCAPについての認識が低かった。EUの予算の約57%(2003年)を占めるCAPだけに、報告書では、一般市民にさらなる情報の提供が必要であるとしている。

CAPの役割とCAP改革

 CAPの果たす役割については、安全で、健康に役立つ農産物の生産の確保が第一であると認識している市民が最も多い。次いで環境に対する配慮の促進であるとしている。また、CAPの改革については、58%のEU市民が良いものであると回答している。

品質の良い食品を購入する傾向

 EU市民にとって食品の品質はとても関心が高いものとなっている。この傾向は、北部の国において顕著であった。今回の報告書では、高品質の食品とは、美味なもの、食欲をそそるもの、本来の味を持っているもの、厳格な衛生条件の下で生産されているものと考えている意見が多いことが判明した。こうした品質の高い、肉、野菜に対して、EU市民の半数以上の人は、価格が5〜10%程度高くても購入する準備があるという意見を述べている。一方、全体の3分の1は、これ以上高いものを買う考えはないとしている。

 また、EU市民は、原産地や生産方法をEUが保証するのであれば、信用するであろうということも明らかとなった。しかしながら、このような高品質なものであることを示す現行の表示方法については、認識度が低いためさらなる情報提供が必要であるとしている。


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