チリ、牛のトレーサビリティ・システム始動


牛関連畜産施設のすべてを対象に登録開始

 11月1日からチリにおいて、牛のトレーサビリティ・システムが始動した。これは、「牛の衛生トレサビリティ公式プログラムの策定」に係るチリ農牧庁(SAG)決議第3321号(2004年9月13日付け)に基づいて実施されている。

 今回は第11州において牛関連畜産施設の登録が先行して行われるが、その他の州においては2005年1月1日から施設登録が開始される。

 牛関連畜産施設のうち、(1)公的管理下家畜施設(PABCO)に登録された施設(2)山岳放牧を行う牛飼養施設(3)国境地域に位置する飼養施設(4)疾病管理撲滅プログラムに参加する施設のうち本登録制度で指定する飼養施設(5)家畜市場とと畜場−が登録開始から6カ月以内に、(6)(1)〜(5)以外の施設は登録開始から4年以内にSAGに登録しなければならない。SAGは登録施設に対し、今後すべての手続きにおいて必要となる畜産施設登録簿(RUP)に掲載される登録番号を与える。ちなみにこの番号は、施設の所在地を示す9桁からなる。

 なお、生産者は毎年7月に6月30日時点の飼養頭数を報告することになっている。

個体識別のための登録も一部で実施

 個体識別は、「個体識別公式装置(DIIO)」と呼ばれるもので行われ、RUPに登録した施設に飼養される牛に装着が義務付けられる。しかし、前述の(1)では対象となる施設のみが装着義務を負い、(5)は義務を負わず、(6)を含めた残りの施設の牛は任意となる。

 DIIOは、SAGから認可された製造業者が、SAGから与えられた個体識別のための9桁の番号などを表示して製造される。なお、DIIOは黄色と定められ、左耳に耳標タイプを、右耳にボタン状タイプ(右耳分には微小な無線IC装置(RFID※)も利用可だが体内埋込方式は不可)を、生後、平日20日以内に装着しなければいけない。なお、粗放的な大牧場である場合は、出荷前までに装着することを前提に離乳までにまたは6カ月齢以内に装着することも許可される。また輸入牛の場合、SAGに個体登録するとともに検疫期間終了後直ちにDIIOを装着しなければならず、これらの手続きが終了しない前に農場などへ導入することは許されない。なお生産者はDIIOを自己負担で購入することになっている。

 
  DIIOのイメージ:耳標とボタン状のものが1セット
・表側:CL(チリ) SAG 9桁の個体識別番号
・裏側:製造年月(日) 製造業者名
※:Radio Frequency Identification
 

 個体登録自体は、SAGから信任された第三者がDIIO番号、品種、性別、生年月日などを牛個体識別様式に記入し提出する。また、家畜の移動などについても報告が行われるが、これら情報はSAGが管理する“畜産情報公式システム”に集約される。

 SAGは個体識別を導入するに当たり「全国の牛の畜産施設を登録し、かつその移動状況などを把握することの大きな利点は、疾病発生の初期段階において効率的かつ効果的な対策を措置することができ、また海外から病気が侵入した場合でも早急に検出し撲滅できる可能性があることである」とその有用性を説明している。

 なお、SAGは養豚、養鶏、牧羊、養蜂の各分野にも公的なトレーサビリティ・システムを導入したいと公表しており、12月には養蜂に関してSAG決議4783号(2004年12月2日付け)「輸出用はちみつ生産者の登録制度(RAMEX)への加入および継続についての手続き」が公布されている。

 


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