韓国の酪農・乳業


 USDA/FAS(米国農務省/海外農業局)は韓国における酪農および酪農製品に関する報告書を発表した。乳牛飼養頭数は、2003年12月では前年同期比4.6%減51万9千頭、うち搾乳牛は同4.4%減の24万1千頭となった。また酪農家戸数も10.3%減の1万800戸となった。一方、1戸当たりの平均飼養頭数は5.6%増の49頭となった。

表1 乳牛飼養頭数の推移
(単位:頭、戸)
資料:2004年韓国家畜年報

生乳生産量と消費

 2003年の生乳生産量は前年比6.7%減の240万トンとなった。政府による支援の縮減と、乳牛飼養頭数の減少により恒常的な減産が見込まれている。しかしながら、飲用乳(飲用乳とフレーバーミルク)消費は同10%増加している。牛乳に代ってフレーバーミルクの消費が伸びており牛乳は前年比わずか1.3%の増となったものの黒豆などを混ぜたフレーバーミルクの消費は同43%増となった。

 年間生産量のうち生産に占める割合の69%、160万トンが飲用向け、同28%、65万4千トンが加工向け、残りの7万6千トンが全粉乳または脱脂粉乳に加工され在庫とされている。

 また、近年ではカルシウムなどの栄養強化やアロエ、黒豆など健康志向に配慮した成分を加えたニッチな商品の消費も毎年10%増加した。

表2 牛乳の需給表
(単位:千トン、%)
資料:2004年韓国家畜年報
 注:乳製品は生乳換算


乳製品の輸入

 韓国の乳製品輸入は2003年に1億7,800万ドル(約185億円、1ドル=104円)、2004年は2億ドル(208億円)に達するとされる。また韓国の経済は経済協力開発機構(OECD)諸国の中で一番早い経済成長を遂げているが乳製品の消費に関しては2004年の後半から2005年にかけて低調な需要となるとされている。

 品目別に見ると韓国輸入乳製品市場に占める割合が44%とされているチーズ輸入は2003年は前年比11.8%増の9,400万ドル(97億7,600万円)、3万5,782トンとなった。2004年は国内生産工場の不足と若者を中心としたし好の変化やファーストフード、外食レストランの増加により消費者の需要が各種のチーズで増加すると見込まれること、韓国のワイン需要が2003年は前年比60%も増加している背景から新しい市場と高品質のチーズが求められ、前年比15%増の4万1,492万トン、2005年の輸入量は45,000トンと予測されている。

 一方、脱脂粉乳の輸入量は、2004年の後半と2005年で比較すると10%増加すると見込まれている。国内生乳価格が2004年9月から前年比13%と上昇しており余剰乳製品である脱脂粉乳の在庫が減少している。脱脂粉乳の小売価格は加工用で前年比79%高のキログラム当たり3.5〜3.9ドル(490〜546円)となっており脱脂粉乳不足が顕著になっている。

 現在韓国では脱脂粉乳に対し1,034トンの輸入割当を行っており、枠内関税は20%であるが枠外関税は176%となっている。なお、2004年の1〜7月で2,100トンの輸入が行われている。


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