米国食肉輸出連合の定期会合開催される


USMEFセング会長輸入国市場に配慮した対応の重要性を強調

 米国食肉輸出連合(USMEF)のセング会長は11月3日から5日の日程で、ニューメキシコ州アルバカーキで開催された定期会合において、最近の食肉輸出をめぐる状況のうち、BSEによる米国産牛肉の貿易再開問題について、輸入国の市場に配慮した対応が重要との考えを示した。

 豚肉輸出についてはBSEによる影響を受けていないこともあり総じて好調であり、ラム肉についても過去最高の輸出となった。BSEの問題については規制当局と産業界では異なった視点から問題をとらえていかなければならない。北米の牛肉産業は統合されていると言いながら、政府はカナダからの生体の輸入をいつまでたっても認めようとしない。国際獣疫事務局(OIE)の基準の遵守を輸入国に求めている一方で、米国はOIEの基準を全て受け入れている訳ではないとの矛盾もある。輸入国との問題の解決に際しては、相手先国の消費者などが米国側の主張や取り組みについてどのように受けとめるかということを考慮する必要があるのではないか。

 また、同東京事務所からは、「調和(Harmonious)」と「つつましさ(Humble)」をテーマとし、信頼回復を目標として、20代から40代の主婦を対象とした米国産牛肉に関する再教育の実施などの提案がなされた。

メキシコからの対日輸出は着実に増大

 同メキシコ事務所からは、最近のメキシコ市場の動向について発表が行われ、メキシコからの対日輸出は着実に増加していくとの見方が示された。

 メキシコの牛肉生産は年率約1%の増加を続けており、自給率は82%となっている。

 豚肉生産については垂直的調整が進んでおり、ユカタン、ソノラ、タバスコの3州を中心に生産は年率1.5%の割合で増加している。豚肉輸入の8割は米国産となっており、鳥インフルエンザ、BSEあるいは牛肉価格そのものの高騰といった問題もあり、この7カ月間で月当たり45〜70%の輸入増加が見られた。人口の増加は低価格のタンパクへの需要を増加させている。食肉の輸出については、対日輸出は着実に増加して行くものと考えられる。

USDAは日本との貿易再開が他のアジア市場との貿易再開の上で重要との認識

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)ウエッツエル畜産課長は、日本との貿易再開は今後の他のアジア市場への貿易再開の試金石となるとの考えを示した。

 どのように牛肉輸出証明(BEV)プログラムを改正するかについて、日米の当局間での技術協議による詰めが必要である。世界貿易機関(WTO)での動植物検疫問題の扱いを考えれば日本が示している21カ月齢以上のと畜牛の全頭検査の実施という政策が国際的にも許容されないことは明確である。台湾については技術専門家の調査を受け入れる。この他エジプト、ロシアからも技術専門家が早期に派遣されることを期待している。

 BSEサーベイランスについては順調に進んでおり、これまで新たなBSE陽性牛は摘発されていない。

 保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)による特定危険部位(SRM)の動物飼料としての使用制限については、貿易相手先との関係で好ましいものと考えられるので、前向きに検討していきたい。

 OIEではガイドラインの見直しに取り組む。地理的なリスク分類の問題やリスクの低い食肉の扱いについてもより多くの国で牛肉貿易が可能となることを目指していくとした。


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