1968年以来の高い投票率で再選
11月2日に行われた米国大統領選挙は、1968年以来の高い投票率(約60%)となった。中西部を中心に選挙人を獲得するとともに激戦州とされたフロリダ、オハイオ州でも勝利を収めたブッシュ大統領が、選挙人数の過半数である286人(得票率51%)を獲得し、再選を果たした。ブッシュ大統領は勝利宣言で、「記録的な数の有権者が投票所を訪れ、歴史的な勝利を収めることができた」と述べた。さらに、得票率で50%を超えて大統領候補が当選するのは、ブッシュ元大統領の1988年の選挙以来となった。ブッシュ大統領は再選後の記者会見において、今後も社会保障制度改革や減税政策を継続することを表明している。
NCBAなどが歓迎の意を発表
ブッシュ大統領支持を掲げてきた全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は11月3日、地方(農業地域)の声が反映された選挙結果であり、われわれ肉牛生産者にとって、最良の日になったとする声明を発表した。また、今回の大統領選挙に対し、ブッシュ大統領候補を支持するというこれまでに前例のない決定を行い、会員が献身的に選挙運動を行ってきたこと。そしてこのことが今回の結果につながったものであるとしている。これによりブッシュ大統領は、小企業に対する減税措置、個人財産の保護(相続税の恒久的廃止)、海外市場の拡大などについて、今後もわれわれを支援することになるとしている。
また、全国豚肉生産者協議会(NPPC)は11月12日、NPPCが抱える首席ロビイストの見解として、ブッシュ大統領と選挙参謀は、農業州を中心に確実に選挙人を獲得できたことが今回の選挙結果につながったと明確に認識している。従って、2期目のブッシュ政権においても農業・畜産分野に配慮した政策が行われることになると発表している。
ベネマン農務長官の後任は未定
米国政府は11月15日、初の女性の農務長官となったベネマン長官が辞任すると発表した。ベネマン長官の辞任に対しブッショ大統領は、「長官は、米国の農家から絶大な支持を得ており、食の安全と供給を確保し、農家の経済的機会を推進してきた。2002年農業法成立とその執行に対する努力は称賛に値する。また、ベネマン長官のリーダーシップにより米国初のBSE発生において、米国の食料供給を保護するため、迅速で効果的な対応策が行われたことに大変感謝している」と述べた。報道などによれば、ベネマン農務長官は、ブッシュ政権2期目も続投する意向を持っていたとされていた。なお、長官の後任について、現時点(11月17日)では発表されていない。
農務長官辞任に対し農業団体もコメントを発表
ベネマン長官の辞任を受け、農業団体がコメントを発表している。全米最大の農業者団体のアメリカンファームビューロー(AFBF)のストールマン会長は、「在任中、数々の複雑な問題に対し巧みに対処してくれたことに大変感謝する。ブッシュ大統領は、ベネマン長官のような農業者に支持される農務長官を後任に任命すると確信している」と述べた。また、NCBAのライナス会長も、長官に対する感謝の意を表明するとともに、BSE発生時に米国で供給される食品は安全であるとの情報を消費者に与えるために努力したことなどについて称賛しているとしている。一方で、中小の肉牛生産者などで組織される米国牧場主・肉用牛生産者行動法律財団(R−CALF USA)のブラード会長は、「ベネマン長官の在任中、幅広い分野でUSDAに働きかけをしたが、大した成果がなく期待はずれであった」とするコメントを出している。
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