干ばつなどの懸念で肉牛産業に影響も


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 秋の降水量、平年を下回る ● ● ●

 干ばつの懸念が再来している。豪州気象局によれば、2005年秋(3〜5月)の天候は西オーストラリア(WA)州を除くほとんどの地域で平年を下回る降水量と平年を上回る気温を記録した。州別に見ると、ニューサウスウェールズ(NSW)州では、この時期では観測史上最高の気温と史上2番目の乾燥を記録した。ビクトリア(VIC)州は、州域の半数以上で観測史上最低の降水量を記録しており、南オーストラリア(SA)州、クイーンズランド(QLD)州、北部準州も同様に平年を下回る降水量となった。干ばつの被害を受けている地域では、5月末現在でNSW州の90%、QLD州の50%、SA州の45%となっている。6月に入り、これら地域では降雨があったものの、今後の予測では平年並みの降雨量が見込めないことから、再び、干ばつによる肉牛産業への影響が懸念されている。

● ● ● 4月のと畜頭数は前年同月比12.5%増 ● ● ●

 豪州統計局によれば、2005年4月のと畜頭数は、前年同月比で12.5%増の70万7千頭と、27カ月ぶりの高い伸び率を記録した(左図参照)。国内消費が高まる5月中旬の復活祭需要による変動を考慮し、前月(3月)を含めた累計で見ると、2005年 3〜4月のと畜頭数は前年同期比6%増の140万頭、うち雄牛が同16%増の76万8千頭となっている。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこの要因について、引き続きおう盛な輸出需要と国内需要に加えて、今回の干ばつが肉牛生産者の出荷促進に少なからず影響したものと見ている。

 州別のと畜頭数では、QLD州の頭数増加が著しく、成牛と畜頭数は前年同期比9%増の66万頭、うち雄牛が同21%増の40万7千頭と大幅に頭数を増やしている。その他の州の成牛と畜頭数は、NSW州が同11%増の29万頭、SA州が同6%増の6万4千頭、WA州が25%増の9万5千頭となっている。

● ● ● 降雨不足で飼料価格は上昇 ● ● ●

 このような中、降雨量の不足を背景に飼料価格は上昇傾向にある。MLAの資料によれば、ソルガム価格は3月にトン当たり151豪ドル(約1 万3千円:1 豪ドル=84円)であったものが、5月の第2週には180豪ドル(約1万5千円)まで値を上げた。同様に小麦は4月から5月第2週にかけて180豪ドル(約 1万5千円)から210豪ドル(約1万8千円)へ、大麦が176豪ドル(約1万5千円)から210豪ドル(約1万8千円)へといずれも値上がりしている。飼料価格高騰の要因としてMLAでは、干ばつへの懸念から穀物生産者が販売を渋り始めているとしている。

 また、現在の状況についてMLAでは、干ばつの影響が著しかった2002/03年の水準までには程遠いものの、今後とも降水量の不足が続けば冬穀物の生産にも影響が及ぶとの懸念があり、飼料価格の上昇に拍車がかかるものとしている。


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