低調ながら回復し始めるブロイラー生産


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生産量は低調、価格は上昇 ● ● ●

 タイ農業協同組合省によると、ブロイラー生産量は2004年2月以降前年を下回って推移している。最盛期の2003年には1月当たりの生産量は8 千万羽で安定的に推移していたのに比べて、現在は同5千万羽程度と6割程度に落ち込んだまま推移しているが、年明けごろからは徐々に回復基調を見せ始めている。

 生産者販売価格は昨年11月のキログラム当たり22.9バーツ(61.8円:1バーツ=2.7円)を底値にその後回復し、2月は同34.4バーツ(92.9円)となる一方、バンコク市場における卸売価格も同様に昨年11月のキログラム当たり21.2バーツ(57.2円)を底値にその後徐々に回復し、2月は同30.3バーツ(81.8円)となっている。

 バンコク市場の内臓抜き小売価格は2月にキログラム当たり56.1バーツ(151.5円)と、昨年11月以降上昇し続けている。

農家販売価格の推移
資料:タイ商務省

● ● ● WTO、EUに関税分類の是正を勧告 ● ● ●

 欧州連合(EU)は2002年7月6日付けEC規則(EC Regulation No.1223/2002)および関連規則の施行後、従来は調製品(関税分類CN Code 0210.99.39、関税率15.4%)に分類されてきた塩分1.2〜1.9%の冷凍鶏肉に対する区分を変更し、冷凍鶏肉(関税分類CN Code 0207.14.10.)「骨なし鶏肉で、塩分含有量が1.2〜1.9%、シェルライフを保つため−18度以下で1年間冷凍保存されたもの」として新たな関税率(正味重量100キログラム当たり102.4ユーロ(13,824円:1 ユーロ=135円))を適用する措置を導入した。なお、ドイツの規格では塩分濃度が1.9〜3.0%であったため、その後塩分濃度に関する規定の解釈はこれに合わせ上限 3%に拡大した。

 これを不服として、EUへの当該品目の輸出の多かったタイおよびブラジルは世界貿易機関(WTO)の紛争解決機関(DSB)に対し紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請していたところである。なお、タイは2003年10月28日付けで同要請を行った。

 これに対しDSBは本年5月30日付けで、EUの当該措置は1994年の関税と貿易に関する一般協定(GATT)合意に抵触する貿易わい曲的行為であるとして是正勧告を行った。今後当勧告に対するEU側からの不服表明などがなされる可能性もあるが、いまだ鳥インフルエンザの問題がくすぶるタイの現状では、大幅な状況の変化は当面の間見込めないものと思われる。

● ● ● 鳥インフルエンザ発生状況 ● ● ●

 国際獣疫事務局 (OIE)への報告によると、5月27日現在でのタイ国内の鳥インフルエンザ発生状況は、4月12日のロブリ県での発生が最終で、このまま再発生が見られない場合90日経過後の7月中旬には清浄化ステータスが得られると見られている。


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