ゼブーの最大のお祭り(ブラジル)




ひとくちMemo

 ブラジルには、1 億9,555万頭(2003年、IBGE)の牛が飼養されており、そのうちの8割がゼブー、またそのうちの8割をネローレが占めると言われている。
 このような中、例年4月末から5月初旬にかけてブラジルゼブー生産者協会(ABCZ)が主催するゼブーの品評会である最大の祭典「ExpoZebu」が、サンパウロ市から北北西へ約500km離れたミナスジェライス(MG)州ウベラーバ市で開催される。



(ABCZ&ExpoZebuの入口)
 今年は4月29日〜5月10日に行われたExpoZebu。
1935年から開催し今回で71回目を迎え、今年は24万人が来場した。


(会場案内図)
(副大統領)

(開会式風景)
 開会あいさつには会長は言うに及ばず、アエルシオ・ネーヴェスMG州知事、ロドリゲス農相、アレンカール副大統領が立った。副大統領は、「ブラジルには太陽、水、土地、そしてABCZがある。連邦政府は資金不足の問題を抱えているが、農畜産部門の要求に対して耳を傾けている」と発言した。
(開会式終了後、農相がワクチン接種)
 農相は、開会式で「連邦政府はインド牛の遺伝資源の輸入を解禁した。また家畜衛生対策費では、当初各方面から不足と言われていた3,700万レアルに、4,000万レアルを追加投入することになり、併せて金額は7,700万レアルとなった。さらに2,300万レアルを投入する可能性があり、これで前年の執行額とほぼ同じ1億レアルに達する見込みである」と述べた。また口蹄疫ワクチンキャンペーンの推進のため、ワクチンを自ら接種するデモンストレーションを行った。
 
 会場には牛も参列。開会式が長く、中には座っている者もいた。
(審査風景)
 牛は全部で3000頭近く集まり、品種ごとに性別・年齢別で朝から晩まで審査が行われた。
 
(待機している牛たち)
 

 さて問題です。彼は帽子で何をしているのでしょうか。
(1)ブラジルは暑いので、牛がバテないように風を送っている。
(2)牛にお祈りを捧げている。
(3)姿勢を正すため注意を引いている。

→答えはこのページの一番下。



(インターナショナルスタンド)
 海外からの訪問客をアテンドする部門で、28カ国から訪問客があったとのこと。なおわれわれが訪問した期間中、コロンビアやボリビアからの訪問者が多かったようだ。
また、団体・個人向けのファームツアーも企画してくれる。われわれも連日、大いにお世話になり、5 カ所を訪問した。
(1)ABS─PECPLAN種雄牛センター
(2)Santa Anna農場─ブラーマンの農場
(3)体外授精会社VITROGEN
(4)Mata Velha農場−ネローレの農場
(5)ALTO ESTIVA、Arapoema農場−ギルの農場

(ABIECのブース)
 ブラジル牛肉輸出業協会(ABIEC)のブース。牛肉の生産から流通・輸出までの一貫を、パネルなどを用いて展示している。
 最後の展示スペースには枝肉がぶら下がり、また出口には普通の半分サイズではあるがコンテナも展示していた。
なお、この枝肉は最後に丸焼きにするそうだ。


 
(生徒たちの訪問)
Expo開催中、生徒達の訪問が相次ぐ。
遠足または課外授業といったところか。
競売は他会場分も含め全54回、計22,097頭が競り落とされ、最高値は雌のネローレ種(33カ月令)で1頭140万レアル(約5千万円、1 レアル=37円)であった (競売風景)
 
(乳牛コンテスト)
 コンテスト方法:第1日目14時にすべて残さず搾り、乳量を測定(この乳量を「基準」とする)。同日22時1回目の搾乳。基準より20%以上多かったら失格となる。これは基準のときに搾り残して、乳量を多くする反則を防ぐためとのこと。第2日目6時、第2回目の搾乳。基準に対して10%以上多かったらやはり失格。その後、8 時間おき(14時、22時、6 時)に6回搾り、第4日目14時に最後の9回目の搾乳が行われ、合計の乳量が一番多かった牛がチャンピオン。乳脂率も測定はしているが、判定には関係ない。

手搾り。ゼブーは子牛が近くにいないと泌乳しないとのことで、子牛が近くにいる。

左がギル部門のチャンピオン
(乳量126.03kg、1 日平均42.01kg)。
右がグゼラ部門のチャンピオン
(乳量111.30kg、1 日平均37.10kg)。

計量風景
 
(ABCZ会長への単独インタビューの抜粋)

オレステス・プレタ・チベリ・ジューニオル会長
 
・ われわれは輸出に高い関心を持っている。よって連邦政府に、口蹄疫対策費を減額しないよう要請している。特に国境を接するパラグアイやボリビアには口蹄疫対策の資金供与が必要である。
・ 最近、中国の民間ミッションが、特に乳牛に強い関心を示している。中国の牛乳消費量は1人当たり10数リットルとのことで、将来的にそれが1リットル増えただけで、10億リットルが必要となることを考えれば、輸出がいかに重要かということがわかる。またゼブーの肉は、脂肪が外側にしかないので簡単に取り除けるから健康食として利用もできるのではないか。また、最近は若い牛もと畜しているので、柔らかい肉も提供できる。
・ ExpoZebuにおける審査会への参加は自由であり、今回の開催に当たって11棟の牛舎を新たに作り、収容可能頭数は2,028頭となっていた。しかし2,700頭以上の申し込みがあったため、来年からは地方大会を行い頭数を絞るつもりだ。
・ MS(マットグロッソドスル)州のトレスラゴアス郡に住んでいた幼少のころ、日系人とコンタクトが多く、一番の親友は日系人であり、日本人には敬意を持っている。日本には行ったことがないので、ぜひ訪ねてみたい。


ブエノスアイレス駐在員事務所 犬塚 明伸、横打 友恵

クイズの答え:(3)


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