2005/06年度の小麦需給予測


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 世界の小麦需給は均衡 ● ● ●

 2005/06年度の世界の小麦需給は均衡が見込まれている。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が公表した小麦の2005/06年度需給予測によると、小麦の世界生産は前年度比1.6%減の 6億1,521万トンと前年をわずかに下回る一方、昨年度の期末在庫を繰り入れた総供給量は、同1.2%増の7億6,477万トンと史上2 番目の高水準を記録するとされている。また、小麦の世界消費量は、人口の増加による食糧需要の増加とヨーロッパおよび旧ソ連諸国における飼料需要の増加により、前年度比で1.8%増の 6億1,733万トンと、最高水準に達した昨年度の記録を更新すると見込まれている。

 その結果、生産量と消費量は4年ぶりにほぼ均衡するとされており、期末在庫は前年度から200万トン弱減少する。しかし、USDAによれば、この在庫の減少は主として中国の国内在庫の減少によるもので、輸出向け在庫は対照的に過去12年で最高水準にまで積み上がるとされている。また、小麦の輸出価格は、総供給量の増加と競争の激化により、下落圧力がさらにかかるものと見込まれている。

● ● ● 世界の小麦貿易はアジア市場から地中海沿岸市場へ ● ● ●

 2005/06年度の世界の小麦貿易は、市場がアジア地域から、地中海沿岸の北アフリカ地域および中東地域へシフトするとされている。USDAの予測によれば、小麦の2005/06年度貿易は、前年度比1.0%減の 1億682万トンと予測されており、特に中国の輸入が同42.9%減の400万トンと大きく影響している。中国は、2004/05年度における世界最大の小麦輸入国であったが、2005/06年度の生産予測は良好で国内需要を十分に賄えるだけの供給量を確保することが見込まれることから、輸入量を大幅に減らすものと予測されている。一方、生産予測の減少が見込まれるモロッコ、サウジアラビア、トルコが前年度比 2〜5割増で輸入量を増やすと見込まれており、当該地域へ輸出するEU25カ国と黒海沿岸諸国における輸出競争の激化が予測される。

● ● ● 米国の小麦輸出は減少の予測 ● ● ●

 2005/06年度の米国の小麦輸出予測は、好調な生産予測にもかかわらず、減少が見込まれる。USDAによれば、2005/06年度の米国の小麦輸出量は前年度比8.9%減の2,550万トンと予測されている。その要因としてUSDAは、中国における輸入の減少、米国の主要な輸出市場となっている地中海沿岸地域におけるEU25カ国および黒海沿岸諸国との競争激化を挙げている。輸出量の減少に加え米国国内の需要の低迷が影響して、米国の国内在庫は増加が見込まれ、前年度比で25.3%増の1,845万トンと予測されている。

05/06年度の世界の小麦需給・貿易予測
(単位:百万トン)
注1:2004/05年度は見込み、2005/06年度は予測
注2:貿易量=輸出量=輸入量
資料:USDA「Grain:World Markets and Trade」

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