● ● ● チーズとホエイ製品が輸出数量増に寄与 ● ● ●
2004/05年度の乳製品輸出は、チーズとホエイ製品を中心に好調さを維持している。デイリー・オーストラリア(DA)によれば、2004/05年度(2004年
7月〜2005年3月)第3四半期までの乳製品総輸出量は、前年同期を1.3%上回る64万3千トンとなった。品目別に見ると、チーズが同16.5%増の17万
5千トン、ホエイ製品は同7.4%増の6万3千トンと、両製品の増加が特に目立っており、乳製品輸出数量全体を押し上げる要因となった。一方、他の品目は軒並み減少となっており、バターが同9.5%減の
3万トン、脱脂粉乳が同8.8%減の10万トン、全粉乳が同4.8%減の12万トンといずれも前年を大きく下回った。豪州では、干ばつにより減少した乳牛飼養頭数の回復の遅れなどから生乳生産が伸び悩んでおり、世界的な乳製品需要の高まりを背景に生乳確保が大きな課題となっている。このため、生産者乳価はいずれも上昇基調にあり、乳業各社はチーズなどの高付加価値製品の生産・輸出を強めている。
図1 乳製品輸出量(2004年7月〜2005年3月)
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資料:DA |
● ● ● 輸出額はほぼすべての品目で前年度増 ● ● ●
堅調な乳製品の国際価格を反映して、輸出額はバターオイルを除くすべての品目で大幅に伸びている。DAによれば、2004/05年度第3四半期までの乳製品輸出額は18億7,599万豪ドル(1,576億円:1
豪ドル=84円)と、前年同期を13.8%上回る結果となった。品目別では、輸出が好調なチーズが同29.8%増の6億6,585万豪ドル(559億円)と最大の伸び記録した。次いで、ホエイが同26.8%増の7,345万豪ドル(62億円)、輸出数量が減少した脱脂粉乳やバターはそれぞれ、同12.8%増の
3億36万豪ドル(252億円)、同11.4%増の8億141万豪ドル(673億円)と、上昇を続ける乳製品国際価格の影響が色濃く反映される結果となった。
図2 乳製品輸出額(2004年7月〜2005年3月)
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資料:DA |
● ● ● チーズを除く乳製品国際価格はやや下落傾向に ● ● ●
このように乳製品国際価格は高値で推移していたが、高値に対する買い控えや国際的な供給増の時期を迎え、価格への下げ圧力がかかり始めている。DAによれば、脱脂粉乳は、2005年
3月に米国での供給増と輸出不振による国内在庫の積み増しが、数週間にわたる国際価格の下落要因となったとしており、生産ピークを迎える中で、今後とも不安定な要素を抱えている。また、バターの国際価格も、世界的な供給量の増加とEUの輸出価格の低下から、このところ弱含み始めている。
対照的に、チーズの国際価格は、例年、EUの供給増の時期を迎えたにもかかわらず、一向に下がる気配を見せていない。この背景についてDAは、EUが
2月中頃からすべてのチーズ輸出補助金の一律10%削減を決定したことが要因であると分析している。 |