減少傾向が続くEUの乳用経産牛飼養頭数


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年の飼養頭数、前年比2.4%減 ● ● ●

 欧州統計局(EUROSTAT)がまとめたEU25カ国における2004年の乳用経産牛の飼養頭数は、前年比2.4%減の2,338万2千頭とわずかに減少した。EUの乳用経産牛の飼養頭数は90年代前半から減少傾向が続いている。その背景として、生乳生産のコントロールを目的とした84年からのクオータ制度の導入や乳牛の泌乳能力の向上などが挙げられるが、2003年に共通農業政策(CAP)に基づくクオータ制度が2014/15年度まで延長されることが決定し、生乳生産の大幅な増加は見込まれないことから、こうした飼養頭数の減少傾向は今後も続くものと思われる。


● ● ● ほとんどの主要生産国で前年を下回る ● ● ●

 飼養頭数を国別に見ると、ギリシャ、マルタ、ポルトガルおよびスロベニアが前年と比べてわずかに増加した以外、ほかのすべての国で下回った。

 生乳生産の多い順に見ると、ドイツが前年比1.2%減の429万頭となり、次いでフランスが同2.0%減の395万頭、イギリスが同2.5%減の215万頭と続いている。一方、ポーランドは、生乳生産では域内第 6位であるが、飼養頭数は前年比3.0%減の273万頭であり、飼養頭数では域内第3位にランクされている。ポーランドは新規加盟10カ国(NMS)の中では最も酪農が盛んな国であるが、このことは、ポーランドの 1頭当たりの泌乳量が主要生産国に未だ及ばないことを示している。


● ● ● 1 頭当たりの乳量、EU15カ国ではすべての国で前年を上回る ● ● ●

 乳用経産牛の育種改良や飼養頭数が減少する反面、1 頭当たりの乳量は飼養管理技術の進歩などに伴い増加傾向にある。ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によれば、2003年の 1頭当たりの乳量はEU15カ国のすべての国で前年を上回っており、平均で前年比0.8%増の6,250キログラムとなった。これは5年前の1998年と比較すると約600キログラムの増加である。

 国別に見ると、スウェーデンが前年に引き続き第1位で、前年比2.8%増の8,073キログラム、次いで、デンマークが同5.1%増の7,889キログラム、フィンランドが1.9%増の7,469キログラムと続く。一方、ギリシャやアイルランドの乳量は4,597キログラム、4,823キログラムに止まっており、乳量が多い国と比較すると約2倍の開きが見られる。

国別の乳用経産牛飼養頭数の推移表
単位:千トン、%

乳用経産牛1頭当たり年間乳量

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