2004年、豚飼養頭数の減少続く


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年は前年比0.8%減 ● ● ●

 欧州委員会が先ごろ公表した2004年のEU25カ国の豚飼養頭数は、前年比0.8%減の1億5,159万頭となった。EUでは、BSEの発生により90年代後半から2001年にかけて主要生産国で豚の生産拡大が行われたことから豚肉価格が暴落し、養豚農家の経営状態が悪化して飼養頭数が減少している。2003年の飼養頭数も前年比1.0%減の 1億5,436万頭と減少しており、今回のセンサスは頭数の減少傾向がいまだ続いていることを示す結果となった。

 飼養動向を地域別に見ると、欧州全体の8割強を占めるEU15カ国は前年比1.2%増の1億2,313万頭となった。一方、新規加盟10カ国(NMS)は同8.6%減の2,846万頭とかなりの程度減少しており、主要15カ国と比較するとNMSの減少幅が大きいものとなっている。

● ● ● EU15カ国の飼養頭数はわずかな増加 ● ● ●

 2004年の飼養動向を国別に見ると、EU15カ国の中で最も飼養頭数が多いドイツが前年比1.0%減の2,624万頭となった。次いで飼養規模が大きいスペインが同5.6%増の2,545万頭、第 3位(EU25カ国の中では第4位)のフランスは0.6%減の1,517万頭となっている。EU15カ国の中では、主要国のドイツおよびフランスが前年を下回ったものの、スペインおよび第 4位のデンマーク、第5位のオランダがやや上回ったことから、全体としては前年よりわずかに増加した。

● ● ● NMSは前年比8.6%減と大きく減少 ● ● ●

 一方、NMSの中では飼養頭数が最も多く、EU全体でも第3位を占めるポーランドは、前年比5.7%減の1,740万頭となった。次いでハンガリー(EU全体で第10位)が同17.4%減の406万頭、第 3位のチェコが同11.9%減の292万頭といずれも飼養頭数を大きく減少させている。NMSはリトアニア、エストニアおよびマルタ以外は軒並み前年を下回っており、特に、第 2位のハンガリーと第4位のスロバキアは大幅に減少している。

EUの豚飼養頭数
単位:千頭、%

● ● ● 2005年も減少が続く見込み ● ● ●

 今回のセンサスでは、20キログラム以上の肉豚の飼養頭数が、他のカテゴリーがすべて減少する中で前年比4.1%増の4,386万頭と増加している。これは、繁殖豚や子豚が減少する一方で、近い将来にと畜される肉豚が増加していることを意味している。欧州委員会も、2005年におけるEU25カ国の豚飼養頭数は、2004年と比較して0.6%減の 1億5,068万頭に減少すると予測しており、EUの豚飼養頭数の減少傾向は続くものと思われる。


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