南部のリオグランデドスル州の被害が甚大
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月12日、4 月25〜29日に実施した2004/05年度の第4回主要穀物生産状況調査の結果を公表した。第4回調査は、全国の主要生産地帯を対象に油糧種子を含む14品目について、収穫の最終段階に入った夏期作物の生産状況と冬期作物の作付意向を調査目的としている。
結果は、作付面積が4,846万ヘクタール、生産量が1億1,369万トンとなっており、これは前年度の作付面積4,737万ヘクタールを2.3%上回ったが、生産量1億1,911万トンを4.6%下回る予測となった。
昨年10月の第1回調査時点では、生産量は前年度より8.1〜9.8%上回ると見込まれていたが、中西部、南東部、南部(以下「中央南部地方」とする)における天候不順により大きな被害を受けたため、大幅な下方修正の予測となった。しかし、長期の降雨不足などの影響について特別かつ限定的に調査し3月22日に生産量1億1,950万トンと公表した結果とは大きな差がなかったことになる。
中央南部地方では、2 〜3月を中心に降雨不足が作物の成長を阻害し、逆に収穫期には降雨により品質が低下する被害があった。特に主要生産州である南部のリオグランデドスル州では12〜3月にかけ長期の乾燥状態となり、大豆およびトウモロコシの生産量は前年度の50%以下となった。
大豆生産量はわずかな伸びにとどまる
このような状況の中、大豆の作付面積は対前年度8.6%増の2,310万ヘクタールであったが、生産量はわずか同0.8%増の5,020万トンとなった。なおCONABは、「すでにこの減産を予測した国際市場での価格上昇が見られ、シカゴ市場では1ブッシェル当たりの価格が12月には5.20ドルであったものが、4 月には6.30ドルになった」としている。
トウモロコシ生産量は対前年度14.6%減
トウモロコシについては第1回調査時に、取引価格の安いトウモロコシを避け大豆の作付けを選んだことにより面積は前年度を下回るものの、リオグランデドスル州で1ヘクタール当たり収量が増える予測から生産量は増加するとしていた。
今回の調査結果では、生産面積は対前年度5.2%減の1,215万ヘクタールと当初の予測傾向となったものの、生産量は同14.6%減の3,599万トンとなり、特に夏期作トウモロコシの生産量は南部地方の降雨不足のため同11.7%減の2,787万トンとなった。
また冬期作トウモロコシの作付面積は同9.3%減の304万ヘクタール、生産量は同23.2%減の812万トンと見込まれている。この減少予測についてCONABは、作付面積および1ヘクタール当たり収量の減少を理由としているが、その要因についての詳細な説明はしていない。
なおCONABが作成したトウモロコシの需給予測表によれば、2004/05年度の生産量は国内消費量3,960万トンを下回り、期末在庫(2006年1月末時点)が約124万トンと前年度の485万トンを大きく下回ることになっている。これらの状況について民間部門では大規模な輸入の必要性が推測されているが、CONABは「前年度からの繰り越しと本年度の生産により11月までは国内供給に支障はなく、輸入は年末になる見込みである。また国内価格の上限は輸入価格と同レベルのものとなろう。現在、国際価格は低水準で推移しており、シカゴ市場の価格は前年同期を30%下回る状況にある」とし、国際価格が国内価格の上昇を抑制する要因になると分析している。
アルゼンチンではトウモロコシが豊作
一方、アルゼンチン農牧水産食糧庁が5月13日に公表した2004/05年度の各作物の生産予測の中で、トウモロコシの生産量は、このまま天候に恵まれれば過去最高の1,936万トンを超える1,950万トンになるであろうとした。
近年、ブラジルではトウモロコシ生産量が増加したことにより輸入量が減り、かつその輸入もパラグアイ産にシフトしたため、アルゼンチンからの輸出は減少していた。よってアルゼンチンでは、ブラジルへのトウモロコシ輸出が増加するとの期待感が高まっている。
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