米国、カナダのBSE発生の疫学的再調査結果を発表


カナダの疫学的調査は適切

 米国農務省動植物検査局(USDA/APHIS)は4月29日、2003年5月にカナダ国内で発見されたものから直近までの、米国で確認されたものも含めた4例のBSE患畜牛に関する疫学的な再調査の結果を発表した。APHISのディへイブン局長は、「カナダの疫学的調査への取り組みは適切であるとともに国際的なBSE専門家が提言するレベルを上回るものであった。そして、この背景には、カナダにおける家畜の個体識別プログラムの実施がこのような包括的な疫学的調査を可能にした」と述べた。今回の再調査は、4 名のUSDA所属の疫学者が1月24〜28日の間、オタワにあるカナダ食品検査庁(CFIA)を訪問し行われた。

 USDA疫学者チームは、2003年5月以降北米で確認された4頭のBSE患畜牛に関するCFIAが実施した疫学的調査の再調査を実施し、(1)4つの事例に共通するBSE暴露原因の可能性、(2)カナダからこれら以外のハイリスク牛が現在米国内に存在している可能性、(3)カナダからの飼料が米国内の牛へのBSE暴露の可能性−に対する評価などについて検証したとしている。概要は次のとおり。



カナダのBSE発生は地域局在的なもの

 疫学者チームは、4 例すべての事例に共通する汚染された可能性のある飼料を最終的に特定することは出来なかったものの、3 つの事例における飼料を通じたBSE暴露との因果関係は排除することは出来なかった。また、4 例すべての事例において、当該患畜牛は最もBSEへの感受性が高い幼少期にBSE感染牛の組織が含まれる汚染された飼料を摂取したことがBSE暴露につながった。そして、その汚染された飼料はカナダでの飼料規制(フィードバン)以前あるいはフィードバン直後のものであるとの結論に至った。このことは、これら4つの事例が、限定された地域における一時的な関連性によるものであり、局在的なBSE暴露であったとことを意味するとしている。

 

出生集団から米国へ輸出された生体牛は全体の約3%

 カナダからこれら以外のハイリスク牛が現在米国内に入ってきているかについては、これら4事例における出生集団(バースコホート)を再調査したところ、859頭が再検証の対象になり、うち6頭が出生集団内で殺処分、11頭が追跡不能、4 頭がカナダ国内に生存し現在CFIAの監視下にあり、809頭が死亡又はと畜され、29頭(対象牛の3.4%)が米国へ輸出されたと考えられるとしている。この29頭のうち、62%に当たる18頭が完全に確認され、とう汰またはと畜処分されていた。また、1997〜98年にかけて約18,000頭の生体牛がアルバータ州から米国へ輸出されたが、米国における一般的な牛の年齢構成からみると当該期の牛の生存は現時点では3%に満たないものと予測される。これらから、BSE発生率の高い英国やEUの状況から勘案しても、米国に入ってきたとされる集団の中にBSE感染牛が存在した可能性は1頭を超えないものと考えられるとしている。

 

飼料輸入によるBSE暴露の可能性は最少限

 歴史的にアルバータ州を中心としたカナダ西部地域から米国への生体牛の輸出は相当数あるものの、同地域での反すう動物由来の肉骨粉などを原料とした飼料は、主に国内の家きん用などとして利用されている。このことから、米国内へ輸出されるハイリスク製品は少ないものと考えられるため、カナダから輸出された飼料による米国内でのBSE暴露の可能性は低いとしている。


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