ブッシュ大統領、CAFTA議会承認などを優先課題に


ブッシュ政権の貿易政策上の主要課題

 ブッシュ米国大統領は5月17日、同日開催されたポートマン新米国通商代表の就任宣誓式典において、同政権における貿易政策における当面の主要な3課題として、米・中米自由貿易協定(CAFTA)の議会承認、世界貿易機関(WTO)におけるドーハ開発計画の推進、中国によるWTO協定の順守を挙げた。

 

最優先課題はCAFTAの議会承認

 CAFTAの議会承認は今次政権の重要な優先課題であり、米国議会にとっても同様であるべきだ。先週、中米の6カ国の首相と会談し、国民の繁栄、近隣地域の安全に対する関心、およびCAFTAがこれら共通の目標に向け歴史的な機会を与えるという認識を共有した。CAFTAは、(1)米国の農業者と商業者の機会を均等にすること、(2)米国経済に貢献すること、(3)米・中米地域のアジアとの競争力を強化すること、(4)米国の背後地域の民主主義を強化すること−の4つの重要な役割を担う。現時点で、中米地域から米国への輸入の約8割が無税であり、米国の市場はCAFTAからの製品に対して開かれている。CAFTAは近隣の4,400万人の消費者を有する市場に対し、米国の製品、サービス、穀物を開放するであろう。CAFTAは繊維部門のような重要分野には最も低い障壁となるであろうし、アジアにおける低価格製品と競争し得る状況をもたらすであろう。西半球の市場が開放された時、CAFTAは自由のみにより得られる安定と安全をもたらすであろう。

 

ドーハ開発計画の推進

 世界貿易機関(WTO)で継続審議されているドーハ開発計画という新たな枠組みは、WTOの歴史の中でも最大の交渉である。主要な産業分野における関税や不公平な農業輸出補助金の低減や撤廃、サービス分野における世界市場の開放がなされるであろう。

 

中国によるWTO協定の順守

 中国のWTOへの加盟は米国にとって好ましいことである。中国のWTOへの加盟後、 米国から同国への輸出額は81%増大した。中国はWTOへの加盟時に国際的な貿易上のルールにも同意したのであり、中国によるそれらの順守は中国と米国双方の関心事項である。

 

◎USDA北米産牛肉の安全性に関する円卓会議を開催

 ジョハンズ米国農務長官は5月17日、米国農務省(USDA)が北米産牛肉の安全性と国境の閉鎖による経済的な影響について議論する円卓会議を6月9日にミネソタ州において開催すると発表した。同会議では、(1)牛肉供給の安全性の基礎となる最近の科学、(2)市場や失業を含む経済活動、(3)牛肉および生体牛市場への長期的な影響に着眼した産業基盤の変更、(4)米国の強化されたBSEサーベイランスプログラムの成功を示すデータ−などについて議論がなされるとしている。

 同長官は、「北米産の牛肉の安全性の基礎となる科学と牛肉産業の基盤の変化の検証を明確にする時期にある。一年間の積極的な検査を通して、約35万4千頭を検査したが、1 頭たりとも新たなBSE症例を確認することがなかったことは注目に値する。生産者、加工業者、政策決定者に対して、事実と将来においてわれわれが進むべき道に関する展望を与える時期にある」としている。また、「カナダとの国境を閉鎖し続けることによる短期的な経済的利益のために、国境の開放を拒む者がいるが、彼らは牛肉産業の長期的な損害をみていない。カナダがと畜能力を拡大しているという事実は無視できない」として、米国牧場主・肉用牛生産者行動法財団(R-Calf USA)による輸入再開差し止め請求を批判した。


元のページに戻る