● ● ● 輸出数量は前年度を下回って推移 ● ● ●
豪州のバター輸出数量は、2004年後半に入り前年水準を下回って推移している。豪州統計局(ABS)の貿易統計によれば、2004/05年度のバター輸出量は、7
〜3月の累計で2万7千トンと前年同期を18.6%下回っており、好調であった2002/03年度の水準と比較しても33.1%減少している。このように、バター輸出が減少する要因として、(1)2002/03年度の干ばつに伴う生乳生産回復の遅れ、(2)輸出市場に対応した乳製品の計画的生産−などが挙げられる。豪州国内の乳牛飼養頭数は2003/04年度末で200万頭を上回るなど、干ばつ以前の飼養水準に戻りつつあるが、生乳生産量は引き続き干ばつ前の水準を下回ったままである。また、最近の乳製品の生産動向としては、輸出市場の需給動向を反映し、全粉乳やチーズ生産などの価格面を重視した生産に傾きつつある。
● ● ● バター生産の確保は厳しい状況に ● ● ●
高騰する乳製品の国際価格を背景に、国内の乳業各社は国際市場でのシェア拡大を目指し、乳製品生産の拡大を図っている。しかし一方で、回復が遅れる生乳生産をめぐり、今期には数度にわたって生産者乳価の引き上げを実施するなど、乳業各社は集乳量の確保にしのぎを削っている。この結果、乳製品の生産コストは上昇傾向にあり、乳業各社は生産拠点の集約化や収益率の高い高付加価値製品への特化を図っている。また、乳業工場の稼働率引き上げを目的に全粉乳などの特定品目の長期契約化が目立っており、バターの生産の確保が厳しい状況にある。
図2 バター国際価格とバター生産量の推移
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資料:DA、ZMP |
● ● ● 需給ひっ迫を背景に輸出金額は前年度を上回る ● ● ●
世界市場におけるバターの需給動向は、好調な原油価格を背景としたロシアや中東諸国での需要拡大などで国際価格は高水準で推移しており、輸出環境は良好な状態が続いている。このため、輸出量が前年を下回る中で、輸出金額は、わずかながらも前年度水準を上回っている。2004/05年度のバター輸出額をみると、7
〜3月までの累計では、前年同期比0.6%増の7,040万豪ドル(59億8千円、1 豪ドル=85円)とわずかに上回った(図3参照)。2002/03年度との比較でも17.1%の減にとどまり、輸出数量減少率の半分程度に収まっている。また、2004/05年度におけるトン当たりの輸出単価は、7
〜3月までの加重平均で前年同期比21.3%高の2,620豪ドル(22万3千円)に達している。
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