● ● ● EU25カ国の生産は18%の大幅減 ● ● ●
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)はこのほど、EU域内における2004年の脱脂粉乳の生産量(速報値)を公表した。これによると、2004年のEU25カ国の脱脂粉乳生産量は前年比17.6%減の112万
6千トンと大幅に減少した。EUにおける脱脂粉乳生産量は、2002年〜2003年の期間は137万トン台を維持していたが、今回の大幅減少を受けて、2004年の介入在庫は前年比58.5%減の
8万トンにまで一気に減少した。
● ● ● 主要生産国は軒並み大幅減 ● ● ●
脱脂粉乳の生産動向を国別に見ると、EU15カ国では第1位のフランスが前年比16.5%減の23万2千トン、第2位のドイツが同27.3%減の22万トン、次いでイギリスが同24.4%減の
8万7千トンと、いずれも大幅に減少している。これら以外の国々もフィンランドおよびスウェーデンを除いて軒並み前年を下回っており、EU15カ国全体では前年比20.1%減となった。なお、フランスおよびドイツの
2カ国の脱脂粉乳生産量はEU15カ国の半数を占めている。
一方、新規加盟国(NMS)について見ると、多くの国の生産量が大きく減少している中にあって、NMS全体の生産量の6割以上を占めており、また、EU25カ国全体でも第
3位の生産国であるポーランドが前年比1.7%増の15万トンとなったことから、NMS全体の生産量は22万6千トンと前年比5.4%の減少にとどまった。NMSの脱脂粉乳生産量は既にEU25カ国の
2割を占めており、欧州委員会は、EU15カ国の生産が減少し続ける反面、NMSの2005年の生産量は29万トンに達し、EU全体に占める割合も拡大すると予測している。
● ● ● 短期的には減少傾向が続く見込み ● ● ●
欧州委員会によると、2004年の脱脂粉乳生産量の大幅な減少は、近年に需要が伸びているチーズやその他の高付加価値乳製品の生産が増加傾向にあるためとしているが、こうした状況を背景として脱脂粉乳生産の減少は今後も続くものと予測している。
これに加えて、2003年のCAP改革により脱脂粉乳をはじめとする乳製品の介入買入価格が2004年7月から削減されたことにより、脱脂粉乳に対する生産意欲が減退したことも2004年の大幅な生産減少の要因の一つとなったものと考えられる。
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