2004年の牛飼養頭数はわずかに減少


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 牛飼養頭数、前年比1.2%とわずかに減少 ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)はこのほど、2004年におけるEU25カ国の牛飼養頭数を公表した。これによると、牛飼養頭数は前年比1.2%減の8,645万頭とわずかに減少した。域内の牛飼養頭数は、96年以降減少傾向が続いているものの、近年の減少幅が 1%台にとどまっていることを勘案すると、飼養頭数の減少に歯止めがかかりつつあるものと思われる。

 なお、全体のおよそ9割を占めるEU15カ国は、牛飼養頭数は1.0%減の7,668万頭であるが、新規加盟国(NMS)では前年比2.4%減の977万頭となっておりNMSの減少の割合が大きくなっている。

EU25カ国のカテゴリー別牛飼養頭数
(単位:千頭、%)
資料:MLC


● ● ● 飼養頭数の増加は6カ国にとどまる ● ● ●

 今回の調査で飼養頭数が前年を上回った国は、域内第4位のスペイン(677万頭:前年比3.4%増)、第8位のオランダ(376万頭:同0.7%増)、第13位のポルトガル(144万頭:同3.9%増)など 6カ国にとどまった。

 これに対して、域内第1位のフランスが前年比1.2%減の1,895万頭、第2位のドイツが3.1%減の1,297万頭、第3位のイギリスが1.0%減の1,042万頭と主要生産国はい ずれも減少している。なお、この3カ国がEU25カ国および15カ国に占める割合はそれぞれ49.0%、55.2%とほぼ半数を占めており、これらの 3カ国動向がEU全体に大きく影響を及ぼすものとなっている。

EU25カ国の国別牛飼養頭数
(単位:千頭、%)
資料:MLC

● ● ● 域内の飼養頭数、中長期的には減少か ● ● ●

 カテゴリー別にみると、1 歳未満の子牛(前年比0.3%増)および肉用経産牛(同0.4%増)以外はすべての分野で減少しているが、それぞれの減少幅はわずかである。また、将来における肉用牛生産の動向を計る上で参考となる 1歳未満の子牛頭数が増加しているものの、生産者に対する生産とは切り離した直接支払い(デカップリング)の実施により小規模肉用牛農家の離農が予想されることなどから、EU全体で見ると今後の飼養頭数は減少もしくは横ばいの傾向を示すものと思われる。


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