記録的な高水準で推移する2005年の肉牛価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 4月の肥育牛価格は前年比5.8%高 ● ● ●

  米国農務省(USDA)によると、肥育牛価格(去勢、チョイス級、生体重量1,100〜1,300ポンド)は2004年後半では前年同月を下回って推移していたが、2005年に入り再び上昇傾向に転じた。第 1四半期の平均価格は100ポンド当たり89.1ドル(キログラム当たり210円:1 ドル=107円)と、2003年5月にカナダでBSEが確認されたため生体牛などの輸入停止措置が採られた影響から、国内需給がひっ迫し肉牛価格が高騰した同年第 4四半期に次ぐものとなった。また、4 月は前年同月比5.8%高の同92.1ドル(同217円)と第1四半期の平均価格を上回る高値を示している。

 なお、牛肉卸売価格(チョイス級、枝肉550〜700ポンド)は2005年1月以降、前年を上回って推移していたものの、4 月は前年同月比0.7%安の同156.8ドル(同370円)となった。


● ● ● 肥育素牛価格も記録的高値 ● ● ●

  肥育素牛価格(オクラホマシティの市場価格、去勢、生体重量600〜650ポンド)をみても、2003年6月以降連続して前年同月を上回って推移しており、2005年第 1四半期の平均価格は、100ポンド当たり116.3ドル(キログラム当たり274円)と過去最高となった2004年第3四半期に次ぐものとなった。さらに、4 月は前年同月比18.3% 高の同126.6ドル(同299円)と記録的な高値となった。

肥育素牛価格の推移
(去勢牛、オクラホマシティ、600〜650ポンド)
資料:USDA/ERS「Livestock,Dairy and Poultry Outlook」


● ● ● 厳しい牛肉供給は長期化の様相 ● ● ●

  USDAによると、このように2005年に入り再び高値で推移する肉牛および牛肉価格は、昨冬の悪天候によりフィードロットへの導入頭数が抑制されたことや、連邦地裁によるカナダ産生体牛の輸入再開差し止め命令などが要因の一つであるとしている。また、2004年における子牛生産頭数をみても、前年比0.7%減の3,763万頭と1951年以降最低なものになるなど牛肉供給が依然厳しい状況であることがうかがえる。

 USDAによると、2005年の子牛生産頭数は、肉用更新用未経産牛頭数の増加などからわずかに増加するものの、国内需要が堅調に推移する中、牛肉供給の厳しい状況は2007年まで継続するものと見込まれている。

 なお、2005年第1四半期のと畜頭数は前年同期比3.6%減、さらに4月は前年同月比6.2%減の253万1千頭と前年に引き続き低水準で推移している。


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