ブラジル農務省、米国向け食肉処理加工施設の輸出を一時停止


農務省、輸出再開は遅くとも30日後の見込み

 5月5日ブラジル農務省(MAPA)は、米国向け食肉処理加工の28施設に対し、衛生証明書の発給を一時停止したことを発表した。

 MAPA動物製品検査部(DIPOA)によると、この措置はMAPAおよび米国農務省の獣医ミッション(以下「ミッション」とする)から、改正が必要であるとされた事項の適正化のために設けられた一時的な措置であり、ブラジル−米国間の衛生関係の規定に違反する事項が改正され次第、解除され得るものであるとしている。

 またDIPOA部長によると、ミッションの監査における指摘事項への対応はすでに着手しており、遅くとも30日のあいだには輸出は再開する見込みであるという。さらに同部長は、「もし米国が輸入停止措置を講じた場合、対米輸出の中断は6カ月以上に及ぶ可能性があるため、今回の一時停止措置は、米国が輸入停止を行なう前に民間部門との合意のもとに行った予防措置」であることも明らかにしている。

 

監査終了の4月には、5施設の輸出認定を一時停止

 MAPAによると、このミッションは3月9日〜4月14日の5週間にわたり、米国向けに加工牛肉を生産する16の食肉処理加工施設(以下「処理施設」と言う)を監査したとのことである。MAPAはこの監査期間中に5つの処理施設の輸出認定を一時停止し、またミッション訪問後30日以内に規定に合致しない処理施設の輸出認定を一時的に停止する可能性があることも併せて発表していた。

 なおこの際、輸出許可を一時停止した理由としてMAPAは、「ミッションの監査期間中、製品の処理などに当たり相手国と定めた規定が守られていなかったことが判明したため、通常業務の一環として対応したまでである」と回答している。

 

ミッションからの指摘事項

 現地では監査期間中に、ミッションが数カ所の処理施設の輸出認定を取り消したとの報道があったが、MAPAによれば、「ミッションは輸出認定を取り消したわけではない。改正が必要な点を指摘したにすぎない」とのことで、指摘された点は以下の内容とのことである。

(1) 米国向け処理施設の監査について、二国間の規定により、毎月、州に配属されたMAPAの技官が監査することが定められているが、これが守られていない事例が見られたこと

(2) また同規定では、従業員に対して継続的に衛生に関するトレーニングを実施することを義務付けているが、これを実施したことが証明できなかったこと

(3) ホルモン製剤の残留検査にブラジルでは尿を用いるが、米国では肝臓を用いて実施していること

 

2005年の家畜衛生対策予算の削減を懸念

 一方、ミッションの監査期間中に、2005年の家畜衛生対策に投入可能とする予算額が発表され、MAPAの1億6,900万レアル(約70億円、1 レアル=41.5円)の要求額に対し、3,700万レアル(約15億円)となった。2004年の予算額は1億1,271万レアル(約47億円)であり、実際には9,175万レアル(約38億円)が投入されていることを考えれば、大きく削減されたことになる。

 これに対し現地では、「ミッションが監査している最中にこのような発表があったことについて、加工牛肉輸出に与える影響を憂慮するとともに、今後の生鮮牛肉の輸出交渉にも影響を与えかねない」と懸念する声が報じられた。

 これに対しMAPAは、「予算の減額は大統領令によるもので、MAPAに限ったことではない。今後、どうなるかははっきりとは言えないが、3,400万レアル(約14億円)を追加投入することが検討されている」と回答していたが、5 月6日企画省が公表したところによると、4,000万レアル(約17億円)が増額されている。


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