米・加・墨、牛肉貿易再開をめぐる動き


北米、牛肉の統一的な輸入基準の確立に合意

 カナダ政府は3月29日、米国・カナダ・メキシコの3カ国がメキシコシティーで会合を開き、BSEに対応した統一的な北米輸入基準を確立することに合意したと発表した。この基準は、国際獣疫事務局(OIE)の現時点でのガイドラインおよび家畜衛生基準の改正案を反映するものになるとしている。

 統一的な北米基準は、科学的知見に基づき継続的に人と家畜の健康を守り、食品の安全性を確保するものである。また、この基準は、米国、カナダ、メキシコにおける生体牛と牛肉製品の安全な国際取引の機会のための体制を確立するものであるとしている。この基準の実施に当たっては、3 カ国におけるそれぞれの規則改正の完了が条件となるとしており、カナダ政府は、本基準に応じた必要な規則改正を実施する予定であるとしている。

 また、メキシコ政府は、カナダからの牛肉などに対する輸入条件の改正作業に速やかに着手すると表明している。これらは、米国が3月7日から実施するとしていた輸入規則と整合性が取れたものとなる予定であり、カナダ政府では、3 〜4カ月後にはメキシコが輸入措置の緩和を図るものと期待している。なお、米国政府もこのメキシコの措置に合意するとしている。

 さらに、カナダ政府は、今回の合意は、北米における科学に基づき前進した規則の構築と国際的な基準作りのための明確な実証となり、北米の牛肉生産の安全性への信頼を明確に立証するだけでなく、他の国々に対してこのような取り組みの導入を促すためのリーダーシップを示すことにもなるとしている。



カナダ政府、米国からの輸入規則を緩和

 カナダ食品検査局(CFIA)は3月29日、米国でBSE感染牛が確認された2003年12月以降停止されていた米国からの生体牛などの輸入解禁について発表した。カナダ政府では、今回の発表は前述の北米3カ国による統一的な輸入基準確立の合意に基づき実施するものであるとしている。輸入解禁に係る新たな規則では、牛の特定危険部位(SRM)を除去した後に製造加工されたすべての月齢を対象とする食肉製品、30カ月齢未満の肥育牛、12カ月齢未満の肥育またはと畜場へ直行するヤギおよび羊、精液採取のための種雄牛、12カ月齢未満のヤギまたは羊からの骨付き肉などとなっている。なお、反すう動物由来の家畜飼料原料およびこれら原料が含まれる家畜飼料、反すう動物由来の肥料原料およびこれら原料が含まれる肥料、牛のSRMおよびこれらが含まれるあらゆる原料の輸入は今後も停止されるとし、これはOIEガイドラインに基づいたものであるとしている。

 CFIAでは今後、統一的な北米輸入基準とOIEガイドラインに基づいたすべての国を対象とした輸入条件の確立を図るとしている。



日本の輸入再開に向けた動きに歓迎と不満

 ジョハンズ米国農務長官は3月28日、日本の食品安全委員会プリオン専門調査会のBSE検査基準見直しへの答申案に対し、「これは、前向きな一歩であり正しい決定ではあるが、その動きはあまりにも遅い。今後、この動きが加速するよう働きかける」と述べた。他方、米国上下議院での経済制裁措置決議案提出の動きについて、制裁措置を行うよりも交渉と議論を尽くす方が優れた解決策であるとの見解を示した。

 また、記者会見に同席したペン農務次官も日本政府の輸入再開に向けた動きは非常に遅いとの認識を示した。


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