FTAは、公正な自由貿易の拡大に必須
ジョハンズ米国農務長官は4月13日、農業コンサルタント会社が主催する食品・農業年次会議に招待され、「21世紀の米国農業の課題」と題して講演を行い、FTA推進の重要性、WTO合意に向けた取り組み、米・中米自由貿易協定(CAFTA)早期締結の推進、牛肉貿易再開に向けた努力、農業予算の削減などについて述べた。概要は次のとおり。
2004年の米国からCAFTA諸国向け農業輸出額は、18億ドル(1,926億円:1 ドル=107円)であった。CAFTA締結に向けた進展により、米国の農家は多大な恩恵を被ることになる。21世紀の米国の農業政策においてFTAへの取り組みは重要なことである。今後もこの勢いを緩めずにFTA交渉を推進していきたい。また、WTO交渉において、米国は合意へのスケジュールが遅れないよう、全力を尽くすつもりである。WTO交渉は必ず成功させる覚悟である。
米国の2005年の輸出総額は560億ドル(5兆9,920億円)から590億ドル(6兆3,130億円)と過去3番目に高い金額となること、また、昨年過去最高レベルに達した農家収入も2005年ではさらに増加するものと見込んでいる。一方で、今後は財政赤字が増大する見込みであるため、米政府は予算削減を打ち出しているところである。農業予算においても例外ではないものの、予算削減には正面から取り組むつもりであり、必要な政策については確実に予算を確保するつもりである。例えば環境対策、BSE関連対策、食品の安全性確保などがこれに該当する。
牛肉貿易再開に向け引き続き努力
BSEに関することは、就任時から私の最大の案件であり、時間も割いてきた。ブッシュ米大統領からは「セクレタリーBSE(BSE長官)」と呼ばれている。
3 週間前にはエジプトが、数日前には台湾が米国産牛肉の輸入再開に関する発表を行った。また、2 週間前には、カナダ、メキシコと北米地域における牛肉の統一的な輸入基準の確立に合意したところである。今後、これが世界基準としてOIE基準になるように働きかける予定である。
これまでの最大限努力した交渉の結果、輸入停止措置を採っている市場は全体の64%から41%(31億ドル(3,317億円))の規模に減少した。しかしながらその半分を占める日本市場は、まだ閉まったままである。日本の貿易再開に向けたプロセスが少しずつだが進んでいるのは良いことだが、今後も手を緩めずに少しでも早く貿易再開となるよう最大限の努力を惜しまないつもりである。貿易再開のためには科学に基づいた議論と決断が必要である。
カナダの生体牛輸入再開が延期されたことには失望している。現在、法廷の場で争っているが、USDAは司法当局と緊密に連絡をとり、少しでも早く輸入が再開されるよう努力しているところである。USDAはカナダがBSEミニマムリスク国であるという基準に変わりはない。
NCBA会議では貿易推進などについて講演
また、同長官は4月15日、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)の会議で講演し、主にCAFTAの早期締結への努力や牛肉貿易再開に向けた取り組みについて述べた。さらに講演後の質疑応答において、BSE発生後強化したBSEサーベイランスの実施と今後の取り扱いについて同長官は、既に当初予定の28万頭を上回る約31万頭のBSE検査を実施した。この6月をめどに当該検査は終了する予定であり、終了後は今回のサーベイランスに対する評価を数カ月かけて行う予定であるとしている。なお、この評価結果は公表するとともに、今後のサーベイランスの方法などについて検討する予定であると述べた。
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