欧州委員会は2004年12月、2004〜2011年における欧州連合（EU）の主要農畜産物の需給に関する中期予測を公表した。

● ● ●豚肉生産量2,240万トン● ● ●

　EU-25の豚肉生産量は、2004年には新規加盟国（NMS）の豚肉飼養頭数の大幅な減少（2002、2003年の価格安による繁殖雌豚のとう汰により2年間で15％減少）により減少するとされている。豚肉生産量は中期的には、鶏肉との競合があるものの、域内、域外における需要から1990年代の伸び率に比べ鈍化するものの増加すると予想される。EU-25の豚肉生産量は2011年には2,240万トンに達するとされる。

● ● ● 消費量は1人1年当たり45.5キログラム ● ● ●

　豚肉消費量は、比較的好調な需要に支えられることにより鶏肉の消費量には及ばないが増加するとされている。1人当たりの年間豚肉消費量は増加し2003年の44.5キログラムから、2011年では45.5キログラムに達するとされている。これは、NMSにおける経済の成長に伴い市場が拡大するものとされている。

　NMSはEU-25の生産量と消費量の約20％を占めるため豚肉需給に与える影響も大きい。2004年5月のEU拡大以降、NMSの豚肉の生産者販売価格はEU-25の平均を超え堅調に推移している。

　輸出は2004年に大幅に増加したが2005年は平年ベースに戻るとされ、中期的には加盟国全体で輸出は伸び、また、欧州域内での取引が活発となるとされている。

● ● ● 拡大により生産量の増加が加速 ● ● ●

　EUが拡大したことによる影響は、NMSでの豚肉の生産が、EU-15からの投資の増加や新たな生産技術の導入、飼料効率の向上などにより生産コストが引き下げられ競争力が向上するとされ、NMSにおける生産量は2004年の330万トンから、2011年には400万トンに増加すると見込まれている。EU拡大が行われなかったと仮定すると、2011年の生産量は360万トンとみられる。

　消費についても、EU加盟により、拡大が行われなかった場合よりも増加するものとみられる。

豚肉需給予測ＥＵ-25、2002-2011

資料：欧州委員会「Prospects for agricultural market in the EU」