ブロイラー生産は減少傾向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ブロイラー生産は減少傾向 ● ● ●

 2004年8月以降、ブロイラー生産(出荷羽数)は減少傾向で推移し10月は前年同月比49%減の4,359万羽となった。2004年3月と4月の生産量の減少は、鳥インフルエンザ発生による需要の減退などによるものであったが、8月以降の生産量の減少は、鳥インフルエンザの再発に加えて、冷凍鶏肉の大量在庫が生産拡大の意欲を阻害する要因になっているものとされている。冷凍鶏肉の在庫量は未公表であるが、業界筋によると20万トンとも言われている。

 その結果、生産が減少傾向にもかかわらず、卸売価格は低下傾向で推移し、農家販売価格も同様に推移している。

農家販売価格の推移
資料:タイ商務省

 また、同様にバンコク市場鶏肉価格も弱含みで推移している。

バンコク市場鶏肉価格
資料:タイ農業協同組合省

● ● ● 鳥インフルエンザの大型緊急対策 ● ● ●

 タイ政府は、1月25日、今後3年にわたる鳥インフルエンザ対策を閣議で緊急に決定した。これは、昨年来の鳥インフルエンザによる死亡者がベトナムとタイで発生しているが、特に最近、ベトナムにおいて死者が続出しており、タイにおいても感染の深刻化が懸念されることと、世界保健機構(WHO)が、人と人の間で感染するように鳥インフルエンザウイルスが変異した場合には、世界で5千万人、タイでも2百万人の死者が発生する可能性があると警告したとされることなどによる。

 この対策の予算規模は47億バーツ(127億円:1バーツ=2.7円)で、監視体制拡充のための検査所の整備、ウイルス検査試薬とワクチンの開発、抗インフルエンザ剤やマスクの備蓄、学校などの建物などを病院として転用するためのベッドの確保である。そのうち監視体制などの整備に40億バーツ(108億円)を充てるとしている。

 このような大規模な緊急対策を発表したのは、タイミングとして2月6日に総選挙を控えているだけでなく、同国政府が鳥インフルエンザの長期化が避けられないとの認識を示したことを表している。

 一般にも事態が長期化するという認識は広まりつつあり、中でも鶏肉輸出業界からは、鳥インフルエンザの発生が主に開放鶏舎であることから、閉鎖鶏舎によって生産された鶏肉については生鮮肉で輸出できるよう措置することを要望する声が上がっているとされている。


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