2005年上半期で延べ138カ国で査察
EU食品獣医局(Food and Veterinary Office:FVO)は先ごろ、2005年の査察計画を公表した。FVOは、欧州委員会の保健・消費者保護総局に属する組織であり、EU加盟国などにおいて、食品安全、家畜衛生、植物防疫および動物福祉に関する規則が確実かつ適切に実施されるよう、これら規則の実施状況などについて査察を行うとともに、必要な場合は加盟国に対し改善を勧告しており、この査察などが食品安全の確保などに重要な役割を果たしている。
査察計画によれば、2005年上半期には、全体で延べ138カ国において査察を実施することとなっており、そのうち食品安全および家畜衛生に関するものが延べ124カ国で実施される。対象国は、加盟国が延べ87カ国、2007年以降にEU加盟が検討されている加盟候補国が延べ15カ国、EU域内に食品を輸出している第三国が延べ36カ国となっている。
2004年からの査察を継続し、新たにGMOを対象
2005年に実施する査察の大半は、2004年から開始されており年内の完了を目指している。その主なものは、
(1) 人間の食用に適さない畜産副産物の取り扱いや管理に関するもの
(2) 食品衛生(食肉店を含む)に関するもの
(3) 家畜および動物由来製品中の動物用医薬品や農薬の残留、動物由来以外の製品における残留殺虫剤などに関するもの
(4) BSEや動物用栄養素に関する過去の査察のフォローアップ
(5) 個人消費を目的とするものを含む、動物や動物由来製品の違法な輸入を発見するための現行の施策の評価に関するもの
(6) 新たに導入された羊の個体識別と登録システムに関するもの
などである。
また、加盟国に対する査察として、2005年において、FVOは、(1)遺伝子組み換え体(GMO)に係る承認、表示、トレーサビリティに関するもの、(2)豚の動物福祉に関する新たな規則に係るものなどを新たな査察対象としている。
第3国では主に輸出許可の再調査
加盟候補国であるブルガリアおよびルーマニアについては、EU加盟に向けた取り組みの進展状況を引き続き監視することとなっている。また、クロアチアおよびトルコについては、加盟交渉が開始された場合、一般的な事前評価が計画されている。また、上記の4カ国において食肉、牛乳、家畜の個体識別などについても査察することとなっている。
一方、EUに食品を輸出している第三国においては、主に現行のEUへの輸出許可の再調査を行うこととなっている。
◎EU鳥インフルエンザ対策を一部変更
EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は1月12日、鳥インフルエンザが発生したことにより実施しているアジア10カ国からの家きんおよび家きん肉の輸入の一時停止措置について、日本および韓国については、鳥インフルエンザの清浄国であると考えられると判断し、この2カ国に対する措置を解除するという欧州委員会からの提案に同意した。この提案は来週にも正式に承認される見込み。なお、残りの8カ国(タイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、中国、ベトナム、パキスタンおよびマレーシア)についての措置は、9月30日まで延長されることとなった。
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