カンポス長官「新記録を達成」と発言
1月19日、アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)のカンポス長官は、新聞記者を集めたインタビューの中で、政府としての公式見解ではないとしながらも、「2004/05年度の穀物の生産量については、間違いなく新記録を達成するであろう」と発表し、多くの関係者が予測しているのと同様に「8,000万トン前後の生産量に達するかもしれない」とした。また同時に、国際価格の低下により生産者の収益は、より縮小するであろうとも予測している。
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(資料:SAGPyAカンポス長官提示) |
なおSAGPyAによれば、アルゼンチンにおける過去最高の生産量は、2003/04年度が未確定であるため暫定的ではあるものの、2002/03年度の7,070万トン(穀類10品目で3,191万トン、油糧種子6品目で3,879万トン)となっており、カンポス長官が発表した最低生産量であっても2002/03年度を上回ることになる。
トウモロコシ、大幅増加を予測
これに先立つ1月14日、SAGPyAは「天候に恵まれれば、トウモロコシの生産量は過去最高に迫る」と題した2004/05年度の各作物ごとの生産予測を公表した。
これによればトウモロコシの作付面積は、前年度299万ヘクタールを14%弱上回る340万ヘクタールと見込まれ、そのうち70万ヘクタールが飼料用とされ、全体面積の96%においてすでに作付け作業が終了している。また特に作付面積が増えているのは、パンパ地域およびその北部地域(ブエノスアイレス州中部、サンタフェ州南部、エントレリオス州、コルドバ州、チャコ州、サンティアゴデルエステロ州、トゥクマン州)となっている。
なお生産量予測には幅があるものの、前年度の1,500万トンを上回る1,800〜1,900万トンとし、過去最高を記録した1997/98年度の1,936万トンに迫る数字となっている。
またソルガムの作付面積は、アルゼンチン北部における作付け時の降雨不足が作付期間の延長を招いたものの、前年度の55万ヘクタールを19%上回る65万ヘクタールと予測されている。
なおSAGPyAのデータによれば、2003年には日本へトウモロコシが44万トン、ソルガムが33万トン輸出されていたが、2004年は11月までにトウモロコシがわずか55トン輸出されたのみとなっている。
近年、増加傾向であった大豆生産は微減
一方、大豆の作付面積は、前年度の1,450万ヘクタールから2%減少し1,420万ヘクタールとなっている。この面積の減少についてSAGPyAは、生産者販売価格が回復しなかった影響が大きかったことを挙げ、エントレリオス州などにおける作付面積の増加や干ばつ地域における作付けの遅延を降雨により挽回したものの、共に面積減少分を補うに至らなかったと分析している。
なお作付けを予定していた面積の95%について作業が終了しているとのことであるが、生産量の予測は公表されていない。
小麦の生産量は天候に恵まれ増加
小麦の作付面積は前年度の604万ヘクタールを3%強上回る623万ヘクタールとなっている。これはアルゼンチン北部における作付面積の減少分以上に、ブエノスアイレス州北部・南東部・南西部での作付けが増加したことによる。
小麦についてはすでに作付面積の99%が収穫を終了しており、特にパンパ地域の中心部およびブエノスアイレス州南東部において、収穫前3カ月間に十分な降雨があったことにより穂数が多くかつ穀粒が充実したことで、生産量は前年度の1,456万トンを10%弱上回る1,600万トンと、過去最高だった2000/01年度の1,596万トンに匹敵する見込みとなっている。
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