牛肉生産量、中期的には減少傾向で推移
ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)は先ごろ、2003/04年度(10月〜9月)の牛肉需給見込みと2007/08年度までの牛肉需給中期予測を発表した。これによると、NZの牛肉生産量は、2003/04年は米国でのBSE発生に伴う輸出需要の増加などを反映して乳用種廃用牛の更新が進んだことから、大幅に増加したが、中期的にみると、肉牛農家の酪農やラム生産など収益性の高い経営への転換傾向が続き、減少すると見込まれている。概要は以下のとおり
2003/04年度の牛肉生産量、大幅増加
○2003/04年度の見込み
・ 生産量:2003/04年度は、前年度比8%増の71万トン(枝肉ベース、子牛肉も含む。)の見込み。米国などでのBSE発生に伴う輸出需要の伸びから廃用牛のと畜頭数が増加したことが主因だが、そのほかに枝肉重量の増加も一因となっている。
子牛肉を除く肉用牛のと畜頭数の種類別内訳は、経産牛33%、雄牛26%、去勢牛22%、未経産牛19%。
酪農経営の拡大に伴い、酪農部門からの経産牛などの供給が増えている。
・ 輸出量:2003/04年度は、前年度比13%増の61万2千トンと見込まれる。金額ベースでは19億2千万豪ドル(1,574億円、1豪ドル=82円)。輸出牛肉の内訳は、加工用が52%、他は冷凍肉35%冷蔵肉6%、冷凍の骨付肉4%、子牛肉4%。
輸出相手国別にみると、米国向けの割合が2002/03年度の58%から49%に大幅に減少し、アジア向けの割合が増加した(韓国11%、日本9%、台湾9%)。なお、加工用については、米国向けが73%、カナダ向けが7%と北米向けだけで80%を占める。
2003/04年度の米国市場での加工用牛肉の平均価格(CIF価格)は前年度比32%増のキログラム当たり264米セント(277円、1米ドル=105円)となった。供給量が少ない反面、需要が堅調であったことによる。ただし、2004年9月時点での米ドルに対するNZドル為替相場が前年同期比で17%上昇しているため、輸出価格(FOB価格)が抑えられことから利益がかなり相殺されているとみられる。
なお、NZでは4つの食肉加工業者が市場を占有している。最も大きいのがリッチモンドを買収したPPCS。他はアライアンス、AFFCO、ANZUCOと続く。
牛肉生産量、中期的には減少傾向で推移
○2004/05年度から2007/08年度までの予測
・ 生産量:2004/05年度は前年度に比べ17%減少すると予測される。主な要因は、乳牛のと畜頭数の減少による。乳牛のと畜頭数は、2001/02年度の68万5千頭から2003/04年度の87万6千頭へと著しく増加している。その後、生産量は、肉用牛の飼養頭数の減少に伴って、2007/08年度までにさらに3%減少すると予測。
肉用牛の飼養頭数は2003/04年度から2007/08年度(6月時点)までに5%減少する見込み。これは、ラム価格の上昇で肉牛経営がラム経営へシフトすることや、酪農経営の増加などが要因と見込まれる。
・ 輸出量:NZ国内の人口増に伴って国内消費はやや増加するものの、生産量の低下に伴って減少する。2004/05年度は前年度比20%減少し、2007/08年度までにさらに4%減少する見込み。
NZ産加工用牛肉の米国市場での価格も米国内の生産量の増加に伴って徐々に低下していくとみられる。
2004年の牛肉輸出量、日本向けは86%増
一方、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によるとNZの2004年(暦年ベース)の牛肉輸出量は前年比9%増の41万3千トン(船積みベース)と過去最高を記録したとのことである。
輸出相手国別では米国が前年比5%減の21万トンで首位。2位は韓国で同90%増の5万トン。一方、日本向けは86%増加の3万5千トン。台湾向けは37%増の3万トン。カナダ向けのみ29%減の3万トンとなった。
NZ牛乳需給中期見通し
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加工用カウミート市場価格(CIF)は、90CLカウミート、ニューヨークCIF価格見込み
2004年は概算値、2005年は予測値、2006年以降は推計値 |
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