タイ食品大手各社、国内市場重視を表明


2005年は国内市場重視

 タイの食品大手各社は昨年来の鳥インフルエンザの影響により多くの輸出仕向け冷凍鶏肉在庫を抱えており、国際機関などによる中長期的観測でもまん延の収束が期待されない状況の中、加熱製品以外の輸出促進のすべがないため、以下の3社(グループ)は流通チェーンの見直しやブランドに対する求心力の強化策などにより、国内市場拡大戦略を表明している。

○CPF(チャロンポカパンフーズ)

 CPグループ傘下食品部門を担当するCPF社は2004年総売上額では前年を10%程度上回る900億バーツ(2,430億円、1バーツ=2.7円)を計上したものの、収益としては前年を下回っている。鶏肉部門では鳥インフルエンザの影響で輸出目標を下回った。

 同社は次期5カ年計画の中で、国内市場におけるブランド名を整理統合するとしており、これにより消費者に対して一連の同社製食品に共通の安全性認識を提供し、グローバルブランドの熟成と国内販売の強化を図るとしている。

 具体的にはTopsの名で知られる国内小売のCentral Food Retail社との提携で、鶏肉および豚肉製品でCPフレッシュチキン、Vポーク、プリモといった品名による加工品販売の強化などを目指すとしている。

○ベタグログループ

 同社が国内市場に投入している取り扱い品目は鶏肉、豚肉、ソーセージや卵があるが、今後加工食品の製品開発を活発化し、主に外資企業とのジョイントベンチャーによるブランドイメージの確立で国内市場開拓を図りたいとしている。

○サハ・ファーム

 鶏肉輸出ではタイ最大の同社が抱える冷凍鶏肉在庫は4万トンを超えるとも言われ、グループ傘下の販売部門を通じて国内市場への直売を計画しているとされる。同社の2004年の推定売上高は前年の7割程度と言われている。

 なお、同国のブロイラー大手生産者で組織されるタイブロイラー加工輸出協会の観測によると2005年の鶏肉加熱製品の輸出量は前年より約50%増の30万トンとされる。(タイの鶏肉輸出量はピークの2003年実績で冷凍鶏肉約39万トン、加工品16万トン、2004年予測値は冷凍3万トン弱と加工品約18万トンである。)日本向け加熱加工処理施設の認定状況としては1月14日付けで9工場が追加認定され現在合計33施設となっている。

東南アジアの鳥インフルエンザ発生状況

 1月21日現在の世界保健機構(WHO)発表による鳥インフルエンザ罹患数はタイ17人(死亡12人)、ベトナム35人(死亡27人)とされており、ベトナムでは1月に入って急速に被害が拡大しており、12月30日以降9人が鳥インフルエンザによって死亡したとされるほか、23日現在、家畜衛生当局は400以上の村でとう汰とへい死を合わせて56万羽に及ぶ家きんの被害が生じているとしている。

 一方、タイでも10月以降、人の罹患は確認されていないものの、今年に入って4県で高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認され、いまだ30県が要注意監視とされている。同国政府はこれらの状況を受け25日、今後3年間で総額47億バーツ(127億円)の緊急対策を行う予定であると発表した。また、ベトナムでの急激な被害の拡大を受けて、対策小委員会を設け、近日中に専門家を派遣するなどによりベトナム政府と共同でまん延防止のための援助活動を行うこととした。

 なおマレーシアでは昨年11月22日の最終発生確認以後、新規発生がなかったことを受けて1月6日、政府は清浄化宣言を発表した。また、タイ産家きん類の輸入停止は当面継続するとしている。

 これに先立ち、同国から家きん類を多く輸入しているシンガポール政府は、マレーシアのジョホール州およびマラッカ州の承認農場産家きん類に加えて、1月1日以降アヒルの主要産地であるペラ州の承認農場産アヒルの輸入停止を解除している。


元のページに戻る