2005年の飼養頭数は前年比2%増、1億4,260万頭
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)が発表した2005年の肉牛および牛肉製品の動向は、2008年の北京オリンピック景気の影響もあり、消費者の強い牛肉需要により牛肉産業は引き続き拡大するとされる。
牛の飼養頭数は2005年末で前年比2%増の1億4,260万頭となる。牛肉の生産量は、前年比で6%増加し700万トン(枝肉重量ベース)に達するとされる。1頭当たりの枝肉重量も134キログラムとなっている。
中国農業省は肉牛の飼養に適した地域を「肉牛振興有利地域」とし中央平原と東北部の7省を指定しており、それらで中国全体の60%以上の生産を行っている。また2004年は良い生産状況に恵まれたが、引き続き2005年もこの傾向は引き続くものとされている。
食肉生産計画を策定
中国政府は、第10次5年計画(2000〜2005年)と長期計画(2005〜2015年)を策定している。政府の目標は2005年末で食肉全体の生産量を7,000万トンとしている。その内訳は、牛肉と羊肉が990万トン、豚肉が4,550万トン、家きん肉が1,400万トンとされている。また2015年には食肉全体で9,000万トン、牛肉と羊肉1,350万トン、豚肉5,500万トン、家きん肉1,980万トンを生産するとしている。2004年の1〜3月に中国で発生した鳥インフルエンザの影響で多くの消費者が家きん肉から牛肉、豚肉、羊肉を消費するようになり、業界によると2004年の食肉生産量は7,200万トン〜7,300万トンと見込んでいる。
家きん肉の生産量が前年並とされているが、牛肉は、10%以上が伸びるとされている。2005年は新たな鳥インフルエンザの発生が懸念されている中、飼料穀物の需要を減らすための政府による牧草肥育家畜の生産に対する支援が行われることとなっており、これらを背景に牛肉が2004年より大きく伸びることが見込まれている。
2005年は卸、小売ともに高値が継続
農業省によると2004年は、飼料穀物価格の高騰、国内の好調な牛肉需要、国際価格の高騰などの影響により牛肉の卸売価格が前年比1.8%高、小売価格が同7.5%高となった。2005年は国内生産の増加と強い需要により、引き続き高いものの2004年を上回ることはないとされている。
品種改良の中心は外国からの導入
中国では肉牛生産の最優先課題が肉牛と乳牛の改良であるが、改良用の品種を積極的に海外から輸入しており、その輸入頭数は毎年倍増している。
また、中国はBSEの脅威に対し、対策として農業省がサーベイランスを実施している。中国政府によれば年間5,000万頭のと畜頭数に対し約4,500頭をサーベイランスしている。各省ごとに正常牛、歩行困難牛、死亡牛、種畜牛、と畜牛の5つのカテゴリーから年間150サンプルが北京の中国農業大学の研究施設と青島の農業省国立BSE研究所の2カ所に集められ検査される。
中国の牛肉需給
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資料:USDA/PSD
注:枝肉ベース |
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