ジョハンズ氏が新米農務長官に就任


BSE、新農業法制定への取組を表明

 1月20日に米国上院議会の承認を得たマイク・ジョハンズ前ネブラスカ州知事は1月24日、第28代農務長官に就任した。ジョハンズ新農務長官は同日の就任あいさつで、指名・承認を行ったブッシュ大統領および上院議会への感謝の意とベネマン前農務長官への慰労を述べるとともに、アイオワ州の酪農家の息子として生まれ自分の原点が農業にあるとし、農務長官就任は自分の夢であったと述べた。そして、米国農務省(USDA)を、長官室にもその銅像が飾られているリンカーン元大統領の精神にのっとり人々に開かれたものにしたいとしている。また、毎日2,900万人の児童が参加している学校給食プログラムや、国民の5人に1人が受けているさまざまな栄養補助プログラムなどを引き続き実施するとしている。さらに、BSE問題、新農業法の制定、フードガイドラインの改正、貿易協定の締結、環境保全プログラムの制定などわれわれの前には課題が山積しているが、USDAの全職員が協力して取り組んでいくとしている。また、新農務長官は、(1)国内農家が海外市場で更なる競争力をつけるための支援の実施、(2)安全かつ豊富で手頃な価格での食品の供給、(3)国民のより健康的な生活のサポート、(4)自然環境の保護、(5)決定事項については科学に基づいた判断を行っていくこと−などについても言及した。

対日牛肉輸出問題が最優先課題

 就任あいさつに続いて電話での記者会見が行われた。会見では、BSE発生により停止している日本への牛肉輸出再開に関する質問があった。概要は次のとおり。

記者:新長官の最初の協議事項となる日本への牛肉輸出再開については、どのように取り組み、対応する予定でいるのか。

長官:日本への牛肉輸出再開に向けた取り組みは、数多くの優先課題の中で私にとって最重要課題である。私はこれまで何度も日本を訪問する機会を有しており、個人的にも非常に友好的な関係を維持している。そして、日本とは数年間にわたり非常に良好な貿易関係を築いている。米国初のBSEが発生した際は、世界中がすぐに反応した。しかしながら米国は科学に基づいた折衝を(牛肉輸入を停止した)各国と行ってきた結果、事実、輸入を再開する国が出てきている。日本との貿易再開はあらゆる理由で可能であると信じている。それは、日本との間で昨年1年間にわたり技術面の検討を行うとともに、交渉団の派遣も行った。そして科学的・技術的質問などあらゆることについて回答してきている。私は両国間で牛肉貿易を再開すべき時期に来ていると心から確信している。重要なことは、農務長官の交代により貿易再開のプロセスが遅れることがあってはならないということである。本件は私にとって最重要課題であり、出来ることはすべてやるつもりである。

記者:日本との交渉打開のために新長官はどのような優位性を持っているのか。

長官:ブッシュ大統領は、この案件についてはわれわれを全面的に支持し、大統領自身も昨年9月21日に日本の首相とこの問題について広範にわたり協議している。次に、私はこれまで何度も日本を訪問し関係者と良好な関係を維持しており、私の個人的な実績が有利に働く。また、本件を解決するために事前に多くの根回しが行われてきた。さらに、1年以上にわたり、USDA、米国の科学者および世界中の科学者と日本の関係者の間で、安全性の問題や防止策などについて議論し確認しているところである。一方で、この交渉の結果が世界中に影響を与えることをわれわれは認識しなければならない。

 このほか、新長官は、カナダからの生体牛輸入に関して、24日にカナダへ調査団を派遣することを表明するとともに今後の調査結果などを注視すると述べた。


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