● ● ● タイ産鶏肉調製品のEU向け輸出に懸念 ● ● ●
タイブロイラー加工輸出協会によると、タイは2005年、27万6千トンの鶏肉調製品を輸出し、EUに対しては、日本に次ぐ11万3千トンを輸出した。一方、2003年後半からアジアを中心に発生していた鳥インフルエンザ(AI)は、世界的に感染が拡大し、EUにおいても2月中旬以降、3月の初旬時点で10カ国においてAIの感染が確認または疑われている。
タイの鶏肉輸出業界大手の代表の一人は、AIの発生により、EUの消費者が鶏肉離れを起こすことにより、タイ産鶏肉調製品のEU向け輸出が落ち込むことが懸念されるとしている。3月初旬の時点では、EUの中でも最大の鶏肉輸入国であるイギリスとそれに次ぐオランダでのAIの確認はまだなされていないものの、特にイギリスについては、フランスとの距離が近いだけに、同国でのAIの確認についても懸念されている。
図1 タイの鶏肉調製品輸出(2005年)
資料:タイブロイラー加工輸出協会 |
● ● ● 種鶏輸入にも影響 ● ● ●
EUにおけるAIの発生は、現地における鶏肉消費の減退にとどまらず、タイにとってはグランドペアレントストック(GP)やペアレントストック(PS)の輸入にも影響するものとみられている。タイ大蔵省の統計によれば、2005年にタイは約220万羽の家きん(種鶏やそのほかのものを含む)を輸入しているが、輸入相手国は米国を除いては、すべてEU諸国となっており、その割合は約8割となっている。
また、農業協同組省畜産開発局(DLD)によれば、3月上旬時点で、タイはAIウイルスの確認されたEU加盟国の、ハンガリー、イタリア、ギリシャ、スロベニア、ドイツ、フランス、オーストリア、スロバキア、スウェーデンの9カ国からの家きんの輸入を既に停止しており、直近では、発生が疑われているポーランドからの家きんも輸入停止とした。
輸入の停止期間については、当該国においてAIの最終発生から3カ月間としているが、表面上の発生が収まっても、その後ウイルスの存在が確認されることが考えられ、現時点では輸入再開時期がいつになるかは予想できないとしている。
図2 タイの家きん輸入(2005年)
資料:タイ大蔵省 |
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