史上初めてトップの座を降りる米国の大豆輸出


◇絵でみる需給動向◇

● ● ● 米国を抜いたブラジル ● ● ●

 米国農務省(USDA)の発表によると、世界における2005/06年度の大豆輸出量は、緩やかに上昇し、前年度を100万トン上回る6,610万トンが見込まれている。米国産の大豆輸出量はブラジル産の大豆輸出量が増加したことにより、記録的であった前年度数量を550万トン、率にして18.4%下回る2,450万トンとなるが、ブラジル産の大豆輸出量は、米国産の減少分のほとんどを代替し、記録的であった前年度をさらに27.0%上回る2,610万トンが見込まれている。このため、大豆輸出量トップの座にいた米国は、史上初めてブラジルにその座を譲ることになるとしている(図1)。

図1 大豆の国別貿易量

資料:USDA「Oilseeds: World Markets and Trade」、「PS&D」


● ● ● 中国市場とEU市場で苦戦する米国 ● ● ●

 米国産の大豆輸出量が減少した背景は、2005/06年度当初、特に、中国市場とEU市場において、ブラジル産との価格競争に敗れたことによる。世界で経済成長著しい中国市場において、米国産の大豆輸出量は過去平均して44%のシェアを占めていたが、米国の年度当初における輸出約定のもたつきから、米国産のシェアは、おそらく40%以下になるものと見通されている一方、ブラジル産のシェアは、おそらく25%以上となるものとしている。中国市場と同様に、EU市場に対する米国産の大豆輸出量も著しく減少し、市場年度後半から供給されることになるブラジル産の新穀大豆は、米国産の大豆輸出に対して、さらなる圧力を加えるものと見通され、米国産の苦境は今後も続くとしている。


● ● ● 米国大豆在庫は記録的水準 ● ● ●

 世界における2005/06年度の大豆供給量(期首在庫+生産量+輸出量)の増加は、1,870万トンであるのに対し、世界の大豆需要量(消費量+輸入量)の増加が、わずか920万トンにとどまることから、世界の期末在庫は950万トン積み増され、5,440万トンと見込まれている。この積み増された在庫のほぼ9割は、市場シェアを失った米国の在庫が増加する結果となり、米国の期末在庫は前年度を120.8%上回る1,540万トンとなり、過去最大になると見込まれている(図2)。

図2 大豆の国別期末在庫

資料:USDA「Oilseeds: World Markets and Trade」、「PS&D」

● ● ● 堅調なブラジルの大豆単収 ● ● ●

 ブラジルとアルゼンチンでは、大豆の生育期間である1月上旬に、生産地域の多くで、熱波による乾燥した気候条件から単収の減少が見込まれていたが、その後、大豆の生育に必要な降雨量が例年以上あったことで、単収の減少はみられないとしている。一方、パラグアイの主要な生産地域では、乾燥した気候条件が長引いていることから、すでに大豆の発育に悪影響が見られ、単収への悪影響は確実であるとしている。

 ブラジルにおける2005/06年度の大豆生産は、前年度に対し収穫面積は4.4%下回るが、生産量は10.4%上回り、記録的となる5,850万トンが見込まれている(図3)。

図3 大豆の国別単収

資料:USDA「Oilseeds: World Markets and Trade」、「PS&D」


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