肉牛飼養頭数の減少などが背景
ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)は先ごろ、2004/05年度(7〜6月)の牛肉需給見込みと2008/09年度までの牛肉需給中期予測を発表した。これによると、2004/05年度の牛肉生産量は、酪農部門からの供給頭数減少や羊生産への移行などから、前年度比8.1%の減少を見込んでいる。また、中期的な牛肉生産動向については、前年度の予測に引き続き、肉牛飼養頭数の減少などを背景に減少傾向で推移するとしている。中期予測の概要は次のとおり。
2004/05年度の輸出量は前年度比11%増、輸出額も拡大
○ 2004/05年度の見込み
・牛肉生産量
2004/05年度の生産量は、前年度比8.1%減の65万2千トン(枝肉ベース、子牛肉も含む。)の見込み。前年度は、米国などでのBSE発生に伴う輸出需要を背景に、廃用牛のと畜頭数が増加したことで生産量は大きく伸びたが、2004/05年度は、廃用牛のと畜が一巡したことに加え、国際的な乳製品価格の高騰を背景に乳牛の留保が進んでいることや、また、肉牛農家による羊生産への転換など収益性の高い経営へと移行していることも、牛肉生産減少の要因として挙げられる。
これを反映して、子牛肉を除く肉用牛のと畜頭数の種類別内訳をみると、経産牛31%(前年度33%)、雄牛23%(同26%)、去勢牛25%(同22%)、未経産牛21%(同19%)となっている。
・牛肉輸出量
2004/05年度の輸出量は、前年度比11%増の41万5千トンを見込んでいる。輸出先を地域別にみると、米国向けの輸出割合が48%と前年度から1ポイント減少したのに対し、アジア(日本、台湾、韓国)向けは同28%増と引き続き拡大傾向にある。
2004/05年度は、アジア市場を中心とした輸出需要の高まりを背景に、輸出単価(FOB価格)はキログラム当たり4.62NZドル(365円:1NZドル=79円)と前年度より9.7%上昇し、また、金額ベースでは19億2千万NZドル(1,517億円)と前年度比14%の拡大が見込まれる。しかし、主要通貨に対してNZドル高で推移する最近の為替相場により、実質的な利益はかなり相殺されたとみられる。
牛肉生産量は中期的に減少、輸出量の低下も
○ 2008/09年度までの予測
・牛肉生産量
今回、生産量に関する中期見通しがないためあくまでも推測の域となるが、と畜頭数について2005/06年度は、引き続き肉牛部門から羊部門へと経営の転換が進むことで、前年度比0.4%の増加としている。一方、乳牛については、乳製品需要の拡大により保留傾向が引き続き高まることから出荷の抑制が見込まれる。このため、2006/07年度までのと畜頭数は増加が予測されるものの、中期的な牛肉生産の減少は避けられないものとみられる。
・牛肉輸出量
一定の輸出需要はあるものの、予測される牛肉生産の低下に伴い輸出量の増加は難しい状況といえる。2005/06年度は前年度比2.9%の減少が見込まれ、その後、若干の増加基調となるが、米国などの輸出拡大による国際価格の低下に伴い、大きな伸びは期待できない。
NZ牛肉需給中期予測
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