米国農務省、脊柱混入子牛肉輸出問題に関する調査報告書を公表
米国農務省(USDA)は2月17日、わが国の動物検疫において米国産子牛肉への脊柱の混入が確認されたため、1月20日から米国産牛肉の輸入が停止されている問題について、輸出元であるアトランティック・ヴィール・ラム社などの調査の結果と再発防止策に関する報告書を公表した。調査は食品安全検査局(FSIS)と
監査事務所(OIG)により行われ、双方から報告書が公表された。
同調査の結果、輸出証明書に署名を行うFSISの検査官が日本向け牛肉輸出証明(EV)プログラムの内容を熟知していなかったことや、同プログラムの条件を満たさない内臓が輸出されていたことなどが判明した。主な指摘と再発防止策の概要は以下のとおり。
FSIS報告書
1. ゴールデン・ヴィール社(アトランティック・ヴィール・ラム社に製品を販売していたと畜処理施設)のEVプログラムでは子牛の内臓製品の生産加工などは取り扱われることとされていない。また、と畜時に内臓製品はEVプログラムの証明のための分離・特定が行われていない。
2. アトランティック・ヴィール・ラム社の輸出証明には「製品は日本向けEVプログラムの要件に適合」と記載されていたが、実際にはホテルラック(子牛の部位)、ロイン、胸腺、舌は同プログラムには適合していなかった。
3. アトランティック・ヴィール・ラム社が輸出した胸腺の重量はEVプログラムに適合した子牛の頭数から製造し得る重量をはるかに上回っている。
4. ゴールデン・ヴィール社もアトランティック・ヴィール・ラム社も記録文書が日本向けEVプログラムに適合していなかった。
OIG報告書の勧告内容
1. 農業マーケティング局(AMS)は輸出が許可されている各施設の特別な牛肉製品名をウエブサイトに掲載すべき。
2. AMSおよびFSISは連携してFSISが輸出証明を行う前に、施設と製品の両方のEVプログラム適合確認を行う作業工程を構築すべき。
3. AMSは、日本向けEVプログラムに必要な特別な製品および追加的な加工工程管理条件を含めた品質システム評価(QSA)マニュアルの改訂を施設側と共に行うべき。
4. FSISはEVプログラムのすべての段階について、これに携わるFSISの職員の役割と責任を明確にすべき。
5. FSISは検査官の輸出証明に関する研修を促進すべき。
6. FSISは輸出証明を行う検査官の能力評価手法を導入するための手引きを改訂し、EV過程の監督を強化すべき。
ジョハンズ農務長官は本件を深刻に受け止め再発防止の努力を強調
ジョハンズ農務長官は、2月17日、同報告書の公表に際して記者会見を行い、「この報告書が徹底的であることは、われわれが本件を深刻に受け止め、米国のシステムが世界でも一番であるとの保証を貿易相手に与えようとしていることの表れである。われわれの対策は、本件を起こした事実に完全に対応し、将来における同様な問題を防止する広範な追加された保護を与えるものであると確信している」と述べた。
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