2006/07年度の生乳生産量、前年水準を上回るとの見通し


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 豪州農業資源経済局、四半期ごとの需給予測を公表 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)は6月、四半期ごとの農産品需給予測を公表した。それによると、2006/07年度の生乳生産量は、前年度比で3.7%増の1,040万キロリットルと前年度水準をやや上回ると見込んでいる。この理由としてABAREは、乳製品の国際価格が、2006年に入ってから軟化傾向にあるものの、依然として高水準で推移していることから、酪農家などの生産意欲を刺激し続けていることを挙げている。また、乳用牛飼養頭数はわずかな増加となるが、一頭当たりの乳量の増加が望めることも要因としている。なお、豪州の生乳生産量の約半分は、乳製品などとして輸出に仕向けられている。

  一方、2006/07年度の生産者乳価についてABAREは、乳製品国際価格の下落から、前年度のリットル当たり32.6豪セント(28.4円:1豪ドル=87円)を4.3%下回る31.2豪セント(27.1円)と見込んでいる。

  放牧が中心となる豪州の酪農は、牧草の生育状況が生乳生産を左右する。2002/03年度の全国的な干ばつの影響により減少した乳牛の飼養頭数回復の遅れから、生乳生産量は伸び悩んでおり、干ばつ前の水準(2001/02年度は1,130万キロリットル)に近づくのは、ほど遠いとしている。

乳用牛飼養頭数、生乳生産量、乳量の推移

資料:ABARE


● ● ● 乳製品生産の流れは、引き続き高付価値製品へ集中 ● ● ●

 2006/07年度の乳製品の生産動向は、需要が強いチーズや全粉乳への傾斜が続くとみている。ABAREによれば、生乳生産量が限られることから、生乳の仕向けは、チーズや全粉乳といった高付加価値製品への集中が進み、生産量はそれぞれ、前年度比8.7%増の38万7千トン、同4.1%増の17万7千トンに拡大するとしている。

  一方、2006/07年度の乳製品輸出額については、チーズが前年度比9.0%増の8億8,000万豪ドル(766億円)と予測しているのに対し、全粉乳は同2.0%減の3億2,500万豪ドル(283億円)、脱脂粉乳は同7.0%減の4億8,000万豪ドル(418億円)、バターは同11.0%減の1億9,300万豪ドル(168億円)としている。これら主要乳製品の生産量は前年度を上回るとみているが、乳製品国際価格の低下から、乳製品の総輸出額は前年度比で0.3%減の24億5,400万豪ドル(2,135億円)にとどまるとしている。

主要乳製品生産量、生産者乳価の推移

資料:ABARE


● ● ● 需給の緩和から乳製品国際価格は軟化 ● ● ●

 ABAREによれば、2006/07年度の乳製品国際価格(トン当たり)は、下落に転じるとみており、バターが前年度比13.2%安の1,738米ドル(20万2千円:1米ドル=116円)と最も下げ幅が大きく、次いで脱脂粉乳が同10.2%安の1,951米ドル(22万6千円)、チーズが同6.8%安の2,599米ドル(30万1千円)と予測している。国際価格下落の要因としては、この2年間、記録的な高値であることを背景に、乳製品主要輸出国である豪州、NZおよびアルゼンチンなどで輸出量を増加させていることを挙げている。特にEUがバター介入価格と在庫水準を引き下げたこと、また、ロシアの輸入需要が緩和傾向にあることが影響するとみており、品目別では、バターについて大幅な需給緩和を見込んでいる。

主要乳製品国際価格の推移

資料:ABARE
注:輸出価格はFOB価格ベース


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