乳製品輸出価格は2006年に入り再び上昇基調に


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 乳製品平均輸出価格は高値安定で推移 ● ● ●

 ニュージーランド(NZ)統計局によると、NZの乳製品平均輸出価格は、世界的な乳製品需給の高まりを背景に、2004年以降、高水準での推移を続けている。2006年4月期の輸出価格は、全乳製品平均でトン当たり3,894NZドル(280,368円:1NZドル=72円)に達し、2004年以降、右肩上がりにある。乳製品の国際価格は、2005年後半に入りオセアニアの生乳生産予測や南米産乳製品との市場競争などから、世界市場の需給が緩和に向かうとの市場観測があり、やや弱含みとなっていた。一方で、NZの乳製品輸出価格は、これに反応するかのように高値安定傾向にあったが、原油産出国などでの乳製品需要が依然として高いことや、オセアニアの生乳生産が終了期に入り始めたことなどから、2006年に入り再び上昇に転じている。

乳製品の平均輸出価格の推移

資料:NZ統計局

● ● ● チーズの輸出価格は2年間で約1.5倍に上昇 ● ● ●

 品目別の輸出価格をみると、チーズの上昇が目立っている。チーズの輸出価格について2004年1月を基準とした場合、2006年4月には約1.5倍近い水準まで上昇を続けており、輸出価格(2006年4月)もキログラム当たり4,300NZドル(309,600円)台と記録的な水準に達している。経済成長や食文化の多様化などにより、世界各国ではピザなどに代表されるファストフードを中心にチーズ需要が依然として高く、限られる国際市場への供給量を背景に、NZの輸出価格も高騰を続けている。現在、オセアニアの生乳生産は端境期にあることから、チーズを中心に輸出価格は引き続き高値安定との見方も出始めてきた。

チーズ輸出価格の推移


● ● ● 台頭が目立つ中国向け、メキシコなど原油産出国向けも増加 ● ● ●

 NZの主な乳製品の輸出量について2006年1〜4月の実績をみると、全粉乳は23万6千トン(前年同期比15.4%増)、脱脂粉乳は9万8千トン(同23.0%増)と粉乳類の伸びが目立つ一方、チーズは10万1千トン(同3.3%増)となり、また、バターは6万9千トン(同6.2%減)と落ち込みをみせている。一方、主要仕向け先別の輸出量をみると、2005年は最大の乳製品輸出先である米国を先頭に、粉乳需要の強いフィリピン、中国、サウジアラビア、日本と続いた。しかし、2006年に入り、世界的な原油価格の高騰を背景に原油産出国での乳製品需要が高まっていることから、特にメキシコ向け輸出の伸びが目立っている。また、経済成長の著しい中国向け輸出については、輸出総額では及ばないものの、米国向け輸出量に匹敵する水準での推移を続けている。統計から見る最近のNZの乳製品輸出の傾向としては、従来の上位輸出国を中心としていたものから、輸出市場の新規開拓による分散傾向がみられる。

主要仕向け先別乳製品輸入量の推移

資料:NZ統計局
注:2006年は1〜4月計


元のページに戻る