EUの農相理事会は5月22日、昨年12月に欧州委員会から提案されたオーガニック生産とその製品の表示に関する規則案について議論を行った。
昨年12月に提案された規則の概要
欧州委員会は2005年12月21日、消費者と生産者へのオーガニック生産に対する理解の促進を目的とした新しい規則案を公表した。主な内容は以下のとおり。
・地理的な気候や条件を考慮して、柔軟にオーガニック生産の目的、原理を定義。
・オーガニック食品の製造者は、製品にEUのオーガニックの表示を義務化。(ロゴを使用するか否かの選択は自由。もしロゴを使用しない場合は、オーガニック製品であることの表示を義務化。)
・オーガニック生産の共通のコンセプトを促進するため、オーガニックにより製造される食品の製品重量の少なくとも95%がオーガニック由来原料であること。
・オーガニック製品として、偶発的に混入する遺伝子組み換え体(GMO)の許容含有率0.9%。
規則案をおおむね支持
今回の農相理事会では、議長国(オーストリア)による3つの質問に基づき議論が行われた。
一つ目の「欧州委員会の規則案の一般的な方針に合意するか」については、ほとんどの加盟国が支持している。しかしながら、一部の加盟国は、オーガニック生産者にとって新たな制約となる懸念や、消費者に誤解を与えないオーガニック製品の表示やロゴの明確なルールの作成の必要性を主張した。
二つ目の「この規則で大規模な料理提供業者を対象にすべきかどうか」については、多数の加盟国は、これらを対象にすることを支持したが、一部の加盟国は、この分野の業種に対する特別なルールの作成の必要性や、この業種を管理するための加盟国でのルール作成の重要性を主張する意見があった。また、一部の加盟国は、この業種においてはトレーサビリティのルールを適用することは非常に困難であることなどを理由に、本規則の対象から除外すべきであるとの意見も出された。
三つ目の「EUのオーガニックであることを示すロゴや表示を義務とすべきかどうか」については、ほとんどの加盟国がロゴまたは表示を義務化する考えを支持している。一部の加盟国は、EUでの義務的なものよりも自発的なロゴや表示を支持する意見もあった。
今後、これらの意見を参考にし、現在の議長国の下で議論を行い、次の議長国(フィンランド)の下でさらに議論を進めるとしている。
オーガニックにGMOを認めない 意見も
3つの質問とは別に、現在の規則案で、オーガニック製品として偶発的に混入するGMOの許容含有率について、一部の加盟国からは現在の提案の0.9%よりも低い許容含有率を要望する意見も出された。
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