今月の市場規模予想は約100億バーツ
現在、タイ国内には工業省産業振興局に登録されているアイスクリーム製造工場が247カ所あり、その分布は北部が51工場、東北部が94工場、東部が18工場、南部が22工場、中央部が20工場、バンコクおよび近郊が42工場となっている。また、そのほとんどは中小企業であり、ユニリーバ社、ユナイテッド社、スウェンセン社などの上位4社でおおむね市場の9割程度を占有している。
タイにおけるアイスクリームの販売は、暑季と呼ばれる3月から5月にかけてピークを迎える。例年、各メーカーは年間販売量の拡大を図るため、この時期に向けて新規の販売戦略を策定している。今年のアイスクリーム市場は、昨年より5%増の約100億バーツ(約300億円:1バーツ=3円)と推定されており、各社とも新製品の投入、販売網の整備などによりシェアの拡大を目指している。
業界は販売方法の多様化を模索
今年のタイ国民一人当たりのアイスクリーム年間消費量は、約0.7リットルと予想されている。米国の同22リットル、日本の同6.5リットルと比べ大幅に少ないが、タイ国民が冷たいデザートを好まないことおよび価格が高いことなどがその理由とされている。
各メーカーは、アイスクリームの消費を拡大するために、これまでも家庭用アイスクリームのレシピを開発するほか、スーパーマーケット、小売店および三輪車による移動販売などの販売方法の多様化に加え、レストラン、ファストフード店およびパン屋などの新規販売チャンネルの拡大に努めている。その結果、昨年の家庭用アイスクリームの販売額は全体で前年比約7%増加したとしている。
また、以上の販売拡大策のほか、製品の多様化を進めるとともに、パッケージのリニューアルを推進するなど消費者の購買意欲を高めている。
コンビニエンスストアの販売網を活用し、シェア拡大を目指す
今年のアイスクリーム市場約100億バーツのうち、約12億バーツ(約36億円)は※プレミアムアイスクリームが占めると予想されている。この分野は約10%の成長が期待されており、顧客層は観光客など富裕な外国人が中心と見られている。スウェンセン社などの大手メーカーは、小売店の拡大を図るとともにガソリンスタンドに併設されているコンビニエンスストアなどの販売網を活用するなどしてシェア拡大を目指すとしている。
また、業界紙によると、今年の暑季期間中はミルクとジュースを混合したソフトクリームが低価格販売も相まって人気を博し、ファストフード店の集客に貢献したとしている。
※ プレミアムアイスクリーム:一般的に乳脂肪分が12%以上で、空気の混入率が低いものをいう。
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