2005年の豚生産はわずかに減少も、2006年は増加に転じる見込み


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2005年の豚生産頭数、前年比0.5%減の2億4千万頭 ● ● ●

 欧州委員会がこのほど公表した2005年のEU25カ国における豚生産頭数は、前年比0.5%減の2億4千万頭とわずかに減少する見込みである。

 生産予測を国別に見ると、EU最大の豚肉生産国であるドイツが前年比2.0%増の4千2百万頭、第2位のスペインが同0.2%増の3千8百万頭となることなどから、EU15カ国全体では同0.2%増の2億3百万頭と前年をわずかに上回る見込みである。しかし、2004年5月にEUに参入した新規加盟国(NMS)は、ポーランドが同1.7%減の2千3百万頭、ハンガリーが同7.7%減の5百万頭、チェコが同12.3%減の4百万頭と上位3カ国がいずれも減少すると予測されることから、欧州委員会は、NMS全体では前年より4.0%減少し、このことがEU全体の生産頭数を引き下げるとしている。

EUの豚生産頭数の推移

資料:欧州委員会


● ● ● 2006年は前年比1.0%増の見込み ● ● ●

 一方、欧州委員会は、2006年上半期の豚生産頭数については、前年同期比1.0%増とわずかに増加に転じると予測している。しかし、こうした生産の拡大から需給が緩み、2006年は多くの国において、豚肉価格は低水準で推移すると予測している。また、その下落幅は第2四半期が第1四半期を上回るとしている。なお、2005年の豚肉価格(EU15カ国:市場参考価格)は、年前半は強含んだものの、6〜10月は前年をわずかに下回って推移している。


● ● ● 生産増を背景に増加する豚肉輸出 ● ● ●

 EU最大の豚肉輸出国であるデンマークとともに、ドイツやNMS最大の豚生産国であるポーランドの豚肉輸出は増加傾向にある。特に、2005年におけるドイツの豚生産はこれまでで最大の4千2百万頭を記録すると予測されており、ドイツ畜産食肉庁(PVE)によると、同国の2005年1〜8月の豚肉輸出量は53万6千トンで、前年同期と比較すると9.0%増加したとしている。2006年の生産状況によっては、輸出数量がさらに増加することも考えられる。

 現在、ブラジルの一部の地域における口蹄疫の発生により、ブラジルからの豚肉輸出が減少していることから、欧州委員会は、輸出市場におけるEU産豚肉のシェアの拡大を期待している。


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