05/06年度の冬穀物生産は増産を予測
豪州農業資源経済局(ABARE)は11月29日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測を発表した。
今回の報告では、2005/06年度冬穀物について、東部の主要穀物生産地域であるニューサウスウェールズ(NSW)州での干ばつの影響が軽減されたことや、最大の穀物生産地域である西オーストラリア(WA)州を筆頭に、すべての州で増産が期待できることから、全体としては前年度比20%増の3,783万トンを確保できるとみており、前回の減産予測から一転して増産を予測している。また、05/06年度の夏穀物生産についても、作付面積の拡大により前回予測を上方修正し、全体としては前年度比24%増の437万トンが期待できるとみている。報告の概要は以下のとおり。
○ 冬穀物は前年度比20%増の3,783万トン
05/06年度の冬穀物生産量についてABAREは、前回(2005年9月報告)の予測で豪州東部や南東部での干ばつの影響が残ることから、前年度比2%減の3,160万トンと予測していた。しかし、天候の回復により、これら地域での干ばつの影響が軽減されたことや、WA州などの生産の伸びが目立ったことなどから、最終的には前年度を大きく上回る生産水準を確保できるとみている。
05/06年度の主要夏穀物の生産予測
地域別の生産動向をみると、国内最大の穀物生産地域であるWA州が、降雨に恵まれ穀物の生育条件が整っていたことから、前回予測を4ポイント上回る前年度比20%の増加としている。また、ビクトリア(VIC)、クイーンズランド(QLD)、南オーストラリア(SA)の各州についても、前年度比2ケタ台の増加としている。さらに、WA州に次ぐ穀物生産地域であるNSW州は、干ばつの影響が長引いたものの、その後の天候の回復が生産に好条件となったことで、生産量は前年度比4%の増加を見込んでいる。前回の減産予想から一転して大幅な上方修正となった。
○ 夏穀物は前年度比24%増の437万トン
05/06年度の夏穀物についてABAREでは、春先の降雨で良好な土壌を維持できたことから、作付面積は前年度比13%増の142万ヘクタールとしている。この結果、生産量は前年度比24%増の437万トンを予測している。
作物別にみると、家畜の飼料として利用されるソルガムの生産量は、主産地のNSW州やQLD州での干ばつの懸念が払しょくされたことで、前年度比14%の増産を見込んでいる。
05/06年度の主要夏穀物の生産予測
◎2004/05年度の酪農経営、干ばつ以前の水準にまで回復
デイリー・オーストラリアが公表した2004/05年度の年次報告によると、酪農家の平均現金収入は8万豪ドル(704万円:1豪ドル=88円)に達したことが明らかとなった。これは、前年度比で3割を超える増収となる。天候要因の回復と、国際市場での需給の高まりを受けて、乳製品は輸出量、価格とも上昇を続けており、これを反映した形となった。2002/03年度に発生した干ばつの影響で厳しい状態が続いた酪農経営は、干ばつ以前の水準にまで回復しつつある。一方、平均乳価も各州で上昇し、主要酪農生産地域であるVIC州では、乳固形分ベースで平均4.23豪ドル/リットル(372円)と、前年度比18%高となっている。乳製品の輸出面では、チーズが過去最高となる22万8千トンを記録するなど、目覚しいものがあった。
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