ブロイラー生産の減少とともに、卸売価格は上昇


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● ブロイラー生産の減少とともに、卸売価格は上昇 ● ● ●

 タイ農業協同組合省発表の8月のブロイラー生産量(出荷羽数)は、52.4百万羽と前年同月を4.2%下回った。生産量は、昨年11月の底(43.3百万羽)から回復した3月以降、7月までは平均60.1百万羽となっていたが、この水準と比べると1割以上減少した。

 また、生産の基礎となるひなのふ化羽数も3月以降、6千1百万羽から6千3百万羽で推移していたが、8月は5千万羽へ減少した。このような中、ひな価格は1羽当たり14バーツ(42円:1バーツ=3円)となり、2004年1月以降の最高値となった。

 ブロイラー加工輸出協会は、ふ化羽数減少の理由について、米国での鳥インフルエンザ(AI)発生により、種鶏の輸入がGP(原々種)とPS(原種)ともに今年前半に比べて減少したためとしている。

 また、商務省発表のバンコク市場のブロイラー生体卸売価格も3月以降、キログラム当たり30バーツ(90円)から32バーツ(96円)の間で、安定的に推移していたものが36バーツ(108円)となり、前年同月比5割の上昇となっている。

図1 ひなふ化羽数とひな価格

資料:ひなふ化羽数は農業経済局、ひな価格は商務省国内取引局


● ● ● EUが冷凍鶏肉の輸入禁止措置をさらに延長 ● ● ●

 EUは、タイにおいて依然としてAIの発生が継続していることを理由に、10月上旬にタイ産冷凍鶏肉の禁輸措置の延長を決定し、この措置の期間は今年の10月から来年9月までとした。同時に、他の東南アジア諸国や中国、カザフスタンなどからの家きん製品の輸入禁止に関しても規制した。

 これに対し、タイの鶏肉輸出企業はこれまでに冷凍鶏肉から鶏肉加熱調製品の輸出に切替を行うなどで対応している。

図2 種鶏輸入羽数

資料:農業経済局


● ● ● 対応策は、調製品輸出と国内仕向け● ● ●

 長引く冷凍鶏肉の輸出禁止への鶏肉輸出企業の対応策の中心は、加熱処理済み調製品の輸出能力の拡大であり、ほとんどの大手企業はAI発生後の対応として、新規の工場や生産ラインの増設を行い、EUや日本などの承認を受け、調製品の製造能力を増強した。一方、調製品の製造能力の拡張が間に合わない企業は、原料の一部を国内に仕向けるなどの対応を行っているとされる。

 中でも食肉製品の輸出大手であるチャロンポカパンフーズ社(CPF)は、輸出鶏肉製品のほぼ全量を調製品に置き換えたとされ、また、ベタグロ社も生産能力を拡充し、同様の措置を採っている。

 一方、AI発生以前にタイの冷凍鶏肉輸出のトップを占めていたサハファーム社は、関連企業の鶏肉調製品製造能力が十分でないため、将来的には製造能力を拡充したいとするものの、1日当たりの処理羽数をAI発生前の5〜6割程度に下げるとともに、輸出仕向けが可能な数量を除いて国内向けに供給しているとされている。


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