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ひとくちMemo アルゼンチンの牧羊産業は羊毛から始まり、一時は輸出国として高い地位を占めていた。しかし、豪州、ニュージーランドとの競争において、アルゼンチン産羊毛は品質面などでの国際的な評価が低かったため、遅れを取ってきた。そこで、95年にアルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は羊毛品質向上プログラム(Prolana)を策定し、国際的に高い評価を得ることを目指した。Prolanaには10州が加入しており、各州の農務機関がSAGPyAとの協定により実施している。主な内容は、家畜がより楽な姿勢で刈られる豪州、ニュージーランドの毛刈りシステムの採用、羊毛の選別や刈り取った羊毛の包装技術の向上などとなっており、農家のプログラム参加は任意である。 |
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毛刈りは、農家が毛刈り会社と契約し1年に1回実施する。会社は炊事係を含む20人程度のチームを農場へ派遣し、天候や対象頭数にもよるが1農場に10〜20日間滞在し、毛刈り作業に従事する。作業は午前6時頃から開始し、2時間15分を1ターム、間に45分の休憩を挟み、午後6時ごろまで続ける。作業の流れは、(1)1ヵ所に集めた羊を1頭ずつ、電動バリカンの前に運ぶ→(2)毛刈り(1頭に要する時間は3〜4分)→(3)刈り取った羊毛をまとめ、選別台に運ぶ→(4)きれいな部分、汚れた部分を選別→(5)品質による選別を行い袋詰め→(6)圧縮して包装となっている。ここでは8人の職人が毛刈りを担当し、1人が1日およそ100頭(熟練者は130頭)を扱う。1頭から平均5キログラムの羊毛が取れ、羊は平均5年で更新される。 Prolanaから派遣されたインストラクター((2)’中央の紺色の作業服姿)がProlanaが推奨する毛刈りの方法を順守しているか、農家を回って指導する。 |
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毛刈りのチームは食料や寝袋などを持参し、大型バスで移動する。車内は各人の荷物を置くだけで全員が休めるほどのスペースはないため、この時期、気温はマイナスにも下がるが、この農場では野宿となる。(なお、牧場によっては、チーム専用の住居がある場合もある。)職人たちの食事はチーム専属の賄いが用意する。農場の一角のレンガを積み上げただけの囲いの中で煮炊きを行う。農家から提供される羊肉が主食。この日の夕食は羊肉のギソ(煮込み料理) |
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(ブエノスアイレス駐在員事務所 横打 友恵、 犬塚 明伸)
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