EUのチーズ輸出量の増加傾向続く


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2004年は前年比2.0%増の304万トン ● ● ●

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)および欧州統計局(EUROSTAT)などが公表した2004年のEU25カ国のチーズ輸出量は、前年比2.0%増の304万トンとわずかに増加した。前年の伸び率(10.3%)と比較すると大幅に鈍化したものの、EU域内および諸外国におけるチーズ需要の高まりを反映して輸出量の増加傾向が続いている。

 このうち、EU域外への輸出は前年比7.6%増の54万9千トンで、最大の輸出先の米国へは前年比8.1%増の11万9千トンとなった。近年、経済が好調なロシアへは同10.5%増の10万2千トンとなったが、原油高が続きさらなる経済成長への追い風が吹いていることから、近い将来米国を追い抜き、再度EU最大の輸出先になる可能性も高い。


● ● ● 主要国の輸出は減少も、NMSが躍進 ● ● ●

  2004年のチーズ輸出量を国別に見ると、最大の輸出国であるドイツが前年比0.7%減の69万6千トン、第2位の輸出国であるフランスが同6.7%減の53万9千トン、第3位のオランダが同0.5%減の50万7千トンといずれも減少している。こうした主要国の輸出の低迷により、EU15カ国全体の輸出の伸びは1.2%にとどまった。

 それに対し、2004年5月にEUのメンバーとなった新規加盟国(NMS)のチーズ輸出量はかなり大きく増加し、NMS全体では前年比15.2%増となっている。この中では、ポーランドおよびリトアニアの上位2カ国の伸びが大きく、それぞれ同52.1%増の7万9千トン、同28.1%増の5万2千トンと大幅に増加している。EU25カ国全体の輸出の伸びが2%台を確保したのはNMSの躍進に依存するところが大きい。

EUのチーズ輸出量の推移

資料:ZMP、EUROSTAT、FAOSTAT、National Statistics


● ● ● 輸出補助金の引き下げが一要因 ● ● ●

 EUでは、域内の生乳の過剰生産の対応策として、域内需要を超える余剰乳製品については輸出補助金により国際的な価格競争力を補った上で輸出を行っている。

 2004年の輸出の伸びが鈍化したことの要因として、地域における消費量の増加に加え、輸出補助金が一貫して引き下げられていることが挙げられる。輸出補助金(チェダーチーズ)は、2003年7月までの100キログラム当たり122.94ユーロ(17万7千円:1ユーロ=144円)をピークとして、その後は段階的に下落している。輸出補助金は2005年に入ってからも連続して引き下げられている。

チーズの輸出補助金の推移

資料:欧州委員会
注:チェダーチーズのEU近隣諸国および米国を除く相手先向けのもの


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