2005/06年度の主要乳製品輸出量、前半は回復基調で推移


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 天候回復が主因、10月以降再び生産減少の恐れも ● ● ●

 ニュージーランド(NZ)統計局がこのほど公表した2005年11月の主要乳製品輸出統計によると、2005/06年度当初の4カ月間(6〜9月)の主要乳製品の輸出量は、前年同期比でかなり増加した。これは、シーズン当初から天候に恵まれ生乳生産量が回復したことや、乳製品に対する強い国際需要の表れとみられる。品目別に見ると、バターは前年同期比29.5%増の5万4トンと大幅に増加し、全粉乳は2.6%増の13万1千トン、脱脂粉乳は3.7%増の4万5千トン、チーズは4.5%増の7万7千トンとそれぞれ増加した。主要乳製品の平均輸出価格も国際相場を反映して、前年同期を上回り、引き続き高水準を維持している。輸出先別に見ると米国、日本、豪州が主要輸出相手先となっている。

 なお、10月に入り、南島では乾燥気候、北島では低温で雨が多い気候が続くなど再び天候不良となり、生乳生産に影響が出てきている。


● ● ● 2004/05年度生乳生産量、天候不良から6年ぶりに前年度を下回る ● ● ●

 一方、家畜改良公社(LIC)は11月、2004/05年度のNZの生乳生産状況などを公表した。それによると、2004/05年度の加工向け生乳生産量は前年度比3.4%減の約1,410万キロリットルとなった。これは、シーズン前半の低温で雨が多い気候が続いたことにより牧草の生育が悪化したことが主な要因とされている。一頭当たりの年間平均泌乳量も、3,574リットルと前年度を約4%下回った。

 生乳生産が前年度に比べて減少したのは98/99年度以来6年ぶりのことである。

生乳生産量の推移


● ● ● 酪農業の合理化、飼養規模の拡大続く ● ● ●

 また、LICによると、NZ酪農業の全体的な傾向として、酪農家戸数は減少する反面、経産牛頭数は増加しており、酪農業の合理化、規模拡大化が引き続き行われている。

 2004/05年度の酪農家戸数12,271戸は、5年前(2000/01年度)から比較すると、1,621戸(約12%)減少している。他方、経産牛飼養頭数は約387万頭と5年前から約38万頭(約11%)増えている。このことから、2004/05年度の一戸当たりの平均飼養頭数は315頭と、同様に一戸当たり平均で64頭(約25%)増加している。300頭以上飼養する酪農家が、5年前では全体の25%に過ぎなかったのが、2004/05年度では40%を超えるまでになっている。

 地域別(北島と南島)に見ると、依然、伝統的に酪農が盛んな北島が酪農の中心ではあるものの、酪農家戸数が全体として減少している中で、南島の酪農家戸数は増加しており、徐々に南島の酪農が拡大している状態が続いている。また、北島の酪農家戸数は全体の82%を占めるものの、飼養頭数全体では73%と、南島で大規模化が拡大していることもうかがわれる。ただし、今後の見込みについては、NZ政府などから、南島でもかんがい用水の利用規制などの環境問題が大きな懸念材料とされると指摘されている。

NZの地域別酪農動向


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