米国農務省、総額約71億ドルの予算を要求
米国農務省(USDA)は11月1日、高病原性鳥インフルエンザ対策予算として9,100万ドル(約110億1,100万円、1ドル=121円)の追加予算を要求したことを明らかにした。この予算要求はブッシュ大統領が公表した総額71億ドル(8,591億円)の世界的なインフルエンザの流行に伴う危機に対する全国防衛対策の一環である。
USDAは鳥インフルエンザのまん延の制御のための国際的、国内的な役割を強化する。サーベイランス、養鶏農家におけるバイオセキュリティー、ウイルスを含んでいる可能性のある鳥および鳥製品の移動のコントロール、リスクを低減する業界の行動の助長などのための費用を計上している。
ジョハンズ農務長官は同日、「USDAは米国内における鳥インフルエンザの危険な型の発生に備え、これを阻止するための現行の対策を強化することを切望する。鳥インフルエンザのさらなるまん延を防止するため、この予算は米国内におけるサーベイランスの強化およびこの疾病により影響を受けた国への増加した支援の実施の一助となろう。」との声明を公表した。
サーベイランスの強化
USDAは既に、生鳥市場からのサンプリング、商業養鶏からのランダムサンプリング、疾病の症状を示した鳥の検査などのサーベイランスを実施しているが、野鳥、渡り鳥、水鳥のサーベイランスおよび診断とそのトレーニングのための費用として3,200万ドル(38億7,200万円)を要求している。
また、サーベイランスや高病原性鳥インフルエンザが発生した場合の対応を容易にするため、発生の疑いがある場合に連邦政府または州政府にこれを報告する全米内の4万人開業獣医師によるネットワークを組織している。
農家のバイオセキュリティーの強化
生産者による病鳥の報告を助長するためにUSDA動植物検疫局(APHIS)は「鳥のためのバイオセキュリティー」と称する運動を展開し、病気のまん延を防止するために庭先養鶏や小規模農家に最新のバイオセキュリティー情報を提供している。今回は、養鶏農家から早期に鳥インフルエンザH5N1を排除または阻止するためのバイオセキュリティー措置のための費用として600万ドル(7億2,600万円)を要求している。
ワクチンの使用はあくまでとうたの一環
USDAは感染鶏の迅速かつ人道的なとうた、バイオセキュリティーに配慮し環境的にも問題のない鶏肉の処分、鳥への適切なワクチン接種について十分な準備を行わなければならないとしている。APHISは、とうたの一環として、発生地域の周辺に緩衝地帯を設けるために使用するワクチンを備蓄しているが、今回は動物用のワクチンの備蓄を4,000万ドースに増大するために必要な経費として1,000万ドル(12億1,000万円)を要求している。
対外的な支援や研究の推進も実施
国連の一部である米国国際開発庁(USAID)との協力の一環として、1,800万ドル(21億7,800万円)の基金を創設し、対外的なバイオセキュリティー、サーベイランンス、診断のために使用が可能となるようにしたいとしている。
このほか、密輸の取り締まりによる貿易の順守(900万ドル(10億8,900万円))、サーベイランスや生物化学的措置の手段であるワクチン、遺伝子配列などの研究、開発(700万ドル(8億4,700万円))、計画、準備のためのトレーニング、シュミレーション(900万ドル(10億8,900万円))についても予算を要求している。
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