米国農務省、ハリケーンによる農産物損害額を公表


損害額は今夏総額10億7,700万ドル

 米国農務省(USDA)は10月18日、9月末に米南部を襲ったハリケーン「リタ」による農産物損害額が1億9,500万ドル(236億万円:1ドル=121円)に及ぶとの試算を公表した。これにより、先に公表されたハリケーン「カトリーナ」による損害額と併せると、両者による農産物の被害は総額で10億7,700万ドル(1,303億2千万円)となった。なお、今回試算された損害額は、現時点でのものであり、多年生作物や畜産物における品質、今後の生産性に対する損害、施設など生産基盤に対する損害および増大した市場コストなどは考慮されておらず、実際の損害額は試算額を上回るものと考えられる。


畜産物の損害は最小限

 ハリケーン「リタ」は9月20日にフロリダ州南部をかすめた後同月24日までの間、テキサス州、アーカンソー州、ルイジアナ州、ミシシッピー州およびアラバマ州を通過し、中でもルイジアナ州、ミシシッピー州およびテキサス州の一部地域に多大な影響を及ぼした。

 主要家畜生産地域であるテキサス州中央部の沿岸地帯は、今回ハリケーンの直撃を免れたため、畜産物に関する損害は最小限にとどまったものとされている。2002年農業センサスによると、これら3州において今回被害を受けた郡全体の肉牛、乳牛および豚の飼養頭数は、米国全体の1%にも満たない。一方、同郡地域におけるその他農作物では、トウモロコシ、ソルガムおよび大豆などの生産量は、畜産物同様米国全体の1%未満となっているものの、米およびサトウキビ生産量はそれぞれ同11%、8%を占め、特にルイジアナ州中南部における収穫期を迎えたサトウキビをはじめ米、綿花などの夏作物が多大な被害を受けたとされている。今回のハリケーン「リタ」による畜産物をはじめとする主要農産物の被害内訳は以下のとおり。

○肉用牛

 上記3州のうち今回被害を受けた郡全体では、約62万7千頭の肉用牛と8千頭以上の豚が飼養されており、うち4千頭以上の牛が浸水などの被害を受けたと報告され、肉用牛の家畜損害額は300万ドル(3億6千万円)とされている。なお、先の「カトリーナ」による損害額は、800万ドル(9億7千万円)であった。

○酪農

 同郡地域およびハリケーンによる暴風雨の影響を受けた周辺地域を含めると約3万7千頭の乳牛が飼養されていたものの、乳牛の損害額は未報告である。多くの生産者が牛舎や関連施設への被害を受け、また、送電線の倒壊により発電機が無ければ搾乳が困難になるなど、生乳販売額では1週間に約40万ドル(5千万円)の損害を被ったとされている。さらに、1頭当たりの泌乳量の減少など、今後の乳牛の生産性などに与える影響が懸念されている。なお、「カトリーナ」による乳牛の損害額は、300万ドル(3億6千万円)であった。

○ブロイラー

 ルイジアナ州およびテキサス州では、それぞれ州全体におけるブロイラー生産の19%、41%を占める郡地域が被害を受け、送電線の倒壊による電力供給機能のまひや鶏舎など構築物への被害に関する報告はあったものの、家きんの損害額は未報告である。米国における2大ブロイラー処理加工業者であるタイソン社およびピルグリム社は、契約生産農家や加工処理施設への影響は最小限のものであったとしている。なお、先の「カトリーナ」によるブロイラーの損害額は、1,500万ドル(18億2千万円)であった。

 なお、肉豚および採卵鶏に関する損害額は未報告である。

○その他農作物

 農作物に関しては、暴風雨および河川のはんらんなどにより、特にルイジアナ州の農作物生産の20〜25%を占めるサトウキビに対する被害が大きく、その損害額は4,200万ドル(50億8千万円)と最大である。また、その他の被害額は、米が2,400万ドル(29億万円)、トウモロコシ200万ドル(2億4千万円)、大豆800万ドル(9億7千万円)、ソルガム700万ドル(8億5千万円)などとなっている。

○大型穀物倉庫(elevator)

 テキサス州の湾岸地域には、全体で約3千3百万ブッシェルの保管能力を有する7つの輸出用大型穀物倉庫が存在する。ボーモントの港湾で一部輸出用穀物施設の操業が一時停止したものの、1週間程度で再開されるなど各穀物倉庫自体への被害は最小限のものであった。ただし、一部倉庫では、電力および作業員の不足に伴う問題は依然解決されていないとしている。


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