民間部門からの提案により計画を作成
ロドリゲス農相は2005年12月1日、鳥インフルエンザ予防対策会議において、政府は各州政府および養鶏業界と共同で鳥インフルエンザの国内への侵入を防止するため、2006年1月から地域区分衛生計画を順次実施することを発表した。
この計画はブラジル養鶏連盟(UBA)の提案によるもので、国内で鳥インフルエンザやニューカッスル病が発生した場合、鶏肉輸入国は同病の発生地域にとどまらず、ブラジル全土を輸入禁止対象とする可能性が高く、このような事態を避けるため、同計画により、各生産地域の衛生ステータスを定め、地域別の防疫体制を確立することで、輸入禁止地域を一部に限定できる可能性も生じ、さらに家きんに関する衛生上の緊急事態にも迅速に対応できるとしている。
計画は地域別、段階的に実施の予定
農務省と養鶏関係団体などと共同で作成した地域区分衛生計画案の実施時期は、地域別(州別)に南部3州、サンパウロ州、ミナスジェライス州、ゴイアス州、マットグロッソドスル州および連邦直轄区が2006年1月から、マットグロッソ州が2007年1月から、北部、北東部の各州と南東部の一部の州が2008年1月からと3段階に分けられている。なお、この計画は、鳥の州間移動の制限に関する法的な問題に対する評価が進められているため、最終的な決定には至っていない。
計画案の主な内容は以下のとおり。
・地域間移動の制限
(1)過去90日以内に鳥インフルエンザおよびニューカッスル病の検査を受け、全国鳥衛生監視プログラム(PMSA)による登録と認可を受けた養鶏施設が公的機関の証明書を付して他州へ移動が可能なのは、改良用の受精卵、ひなおよび種鶏、鶏・七面鳥・アヒル・ウズラなどの生産向けふ化用卵および初生びな、ダチョウおよびエミューの繁殖または生産向けふ化用卵および90日齢以内の生体
(2)と鳥向けのブロイラーおよび廃鶏、鶏ふん、鶏舎の敷床、ふ化後の残物、内臓は他州への移動を禁止
(3)消費向け鶏肉および鶏卵は農務省動物製品検査部(DIPOA)の施行規則に基づき移動
・予防対策など
(1)農務省と各州政府による鳥インフルエンザおよびニューカッスル病に係る定期的な血清検査の実施
(2)GPSを使用し経緯度を記録した全国の養鶏施設の登録
(3)衛生緊急事態に対応するため各州における研究チーム(GEASE)の結成
計画承認後、パブリックコメントを実施
計画の実施は当初2006年1月からとしていたが、鳥の州間移動に関する調整などに時間を要し、1月12、13日に開催された農務省および養鶏関係団体などによる会議においてようやく最終案の合意に至った。UBAによると、30日間のパブリックコメントを実施し、その90日後に同計画が施行されることになっている。また、計画の名称も「ニューカッスル病および鳥インフルエンザ予防計画」に変更されている。なお、2月3日現在、パブリックコメントは実施されていない。
ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国であり、2005年の鶏肉(生鮮および加工)輸出額は35億ドル(4,165億円:1ドル=119円)、輸出先は150カ国を超える。
なお、昨年11月にパウリスタ養鶏協会(APA)では、鳥インフルエンザがブラジル国内で発生し、輸出が完全に停止した場合の損失額を30億ドル(3,570億円)と見積もっている。さらにこれにより、国内供給が少なくとも35%過剰となる一方で、消費者の鶏肉離れにより、国内消費量は30%以上落ち込むであろうと予測している。
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