南米からの乳製品の輸出拡大の影響を見込む豪州


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 豪州の新たなライバルと認識 ● ● ●

 豪州農業資源経済局(ABARE)主催の2006年の農業資源観測会議(OUTLOOK2006)の席で、デイリー・オーストラリア(DA)は、南米の乳製品について触れ、近年、南米の生乳生産量が着実に増加しており、その乳製品は、世界市場の中で大いにその存在感を増しつつあることから、南米が乳製品輸出国として豪州の新たな挑戦者になり得るものとの認識を表した。

南米3カ国と豪州の生産状況比較

資料:DA
注:生乳生産量以外は、2004年の数値。


● ● ● 輸出に拍車がかかるアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル ● ● ●

 南米最大の乳製品生産量を誇るアルゼンチンの乳製品輸出量は、2001年から2004年の間に2倍に成長するなど、現在、世界の乳製品貿易量の4%以上を占めている。2004年の乳製品輸出量は374,000トン、輸出額は5億7,500万米ドル(679億円:1米ドル=118円)を記録した。また、ウルグアイの乳製品輸出量も、近年、年率7%で成長しており、2004年の乳製品輸出量は165,000トン、輸出額は前年比29%増の1億9,000万米ドル(224億円)に達している。ウルグアイは、生乳生産量の60%以上を30カ国以上に輸出しているとみられ、その大部分をフレッシュミルクとUHT牛乳が占めている。一方、ブラジルは、90年代後半に乳製品の主要輸入国であったが、外資の乳業メーカーの投資もあり、自給自足を可能にしたばかりか、着実に、輸出量を増加している。主要な輸出乳製品は、粉乳と加糖れん乳であり、2004年の乳製品輸出量は79,000トン、輸出額は1億1,500万米ドル(136億円)となった。

 メルコスルからの輸出乳製品の半分は、粉乳であるが、仕向け先をみると、2005年には、アフリカ、北米、中米やアジアも重要な輸出市場となっている。

アルゼンチンとブラジルの乳製品輸出量

資料:DA


● ● ● 短・中期的にメルコスルの輸出競争力は増加 ● ● ●

 メルコスルの主要輸出国である3カ国(アルゼンチン、ウルグアイおよびブラジル)は、粗飼料(放牧)に依存した低コスト生産を行っている。今後、家畜改良や飼養管理の改善などによる効率性の向上により規模拡大が進展すると見込まれている。

 DAでは、南米が豪州の乳製品輸出にとって影響を与えるとしながらも、メルコスルの輸出競争力は拡大することから、今次WTO交渉による欧州、北アジアおよび北米の市場アクセス改善に向けて豪州と協力していくと見込んでいる。


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