食肉、乳製品の中国向け輸出見通しを発表 ● 豪 州


乳製品、砂糖、穀物などの輸出増を見込む

 豪州農業資源経済局(ABARE)は、先ごろ、豪州から中国への農産物輸出見通しに関する調査結果を発表した。

 これによると、中国では、近年の高度経済成長に伴い都市化が進み、都市住民の収入が大幅に増加していることや、食生活の多様化から魚や食肉、乳製品、果物、野菜などの農産物需要が大幅に増加する状況が続いている。この状況に対して中国政府は、農産物の生産振興政策を行ってきたが、ABAREでは、水資源不足や土壌の悪化などの問題から、今後、一部の農産物については国内生産で需要に対応できなくなり、豪州などからの輸入に頼らざるを得ない状況になるとみている。豪州にとって、特に、乳製品や砂糖、穀物などは、輸出を増加させる可能性があるとしている。

 なお、豪州と中国は現在、自由貿易協定(FTA)の締結を目指している。


乳製品輸出量増で中国向けシェアやや上昇か

 次に個別の畜産分野をみると、中国の酪農乳業部門の現状は、近年、生乳生産量が急激に増加しているが、飼養管理技術や衛生管理面の遅れにより生産性が低く(2003年の1頭当たりの平均乳量は2,000キログラム)、生乳生産量の増加は乳牛頭数の増加に依存しているとしている。このため、短期的にみれば、乳製品の生産量が需要に追いつかず、特にここ数年間は乳製品の輸入量が大幅に増えると見込んでおり、豪州からの輸出機会も増加するとみている。

 中国の主要な乳製品輸入先は、ニュージーランド(NZ)(金額ベースでのシェア50%)、豪州(同14%)、フランス(同13%)、米国(同9%)。品目別シェアでは、粉乳類とれん乳が52%、ホエイおよびホエイ調製品26%、チーズ18%などとなっている。関税は6〜20%の範囲内で、関税割当枠は設けていない。

 一方で中国市場の問題点として、中国との取引の多くはスポット契約で行われており、日本との間のような長期契約を結び、かつ、豪州製品が市場に浸透しているというような関係になっていないため、干ばつ時などの豪州の生乳生産量がひっ迫するときは、中国向け輸出を減少させざるを得ないということを指摘している。

 また、FTAの成立などで2014年までに中国が関税を撤廃すると、撤廃しない場合に比べ豪州の輸出量は54%増加すると見込んでいるが、輸出量全体でみると依然小規模でシェアがやや増加するにとどまるとみている。

(注)2004/05年度の豪州から中国(ホエイを除く品目は香港向けを含む)への乳製品シェア:脱脂粉乳6%、全粉乳2%、チーズ3%、ホエイ15%。


食肉輸出量増加も、小規模にとどまる見込み

 中国は、食肉の輸出国であるが、近年、豚肉や牛肉、羊肉の輸入量が急激に増加し、2003年はこれらの輸入量が合計で19万トンとなった。(なお、同年のこれらの食肉輸出量は33万トン)。また、内臓輸入量も増加し、同年で21万トンとなっている。牛肉は、米国と豪州が主たる輸入先となっているが、豪州にとって、2004年の中国向けの輸出量はわずか千トン強にすぎず、羊肉の輸出先別シェアも8%にとどまる。中国の牛肉や羊肉の関税率は現在12%であるが、FTAなどにより関税が撤廃されれば、撤廃されない場合に比べこれらの食肉の2014年度の輸出量は75%増加すると見込まれ、豚肉や鶏肉輸出も93%増加するとみている。ただし、もともとの輸出量が少ないので、小規模な輸出にとどまるとみている。ABAREでは、今後、中国は引き続き食肉の輸出国であると同時に輸入国であり続けるとみているが、長期的にみてその状態を維持し続けるのかどうか不透明であるとしている。

 飼料穀物については、食肉の生産増に伴い、需要が増え、中国は穀物輸入国になる可能性が高く、豪州産の大麦やソルガムなどの飼料用穀物の輸出が見込まれるとしている。



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